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業務用清掃ロボットを開発する中国スタートアップ企業の「湯恩智能(Sparkoz)」が、シリーズAで嘉御資本(Vision Knight Capital)と高和資本(GoHigh Capital)から数千万元(数億~十数億円)を調達した。
人工知能(AI)、自律航法、マルチセンサーフュージョンなどの技術が発展するのに伴い、ここ数年は清掃ロボットもスマート化が進んでいる。世界的な人手不足によって人件費が高止まりする中、業務用清掃ロボットはサービスロボット分野で利用頻度が高く、手堅い需要のある存在となりつつあり、用途もますます広がっている。
中研普華産業研究院のデータによると、中国の業務用清掃ロボットの市場規模は2025年に約749億元(約1兆4500億円)まで拡大する見込みだ。ここ2年ほどで数十社がこの有望な市場に参入したが、大規模に運用する理想的な状況にはなっていない。
湯恩智能は2020年に設立され、本社と研究開発拠点を上海市に置いている。創業者の崔彧瑋氏は、業務用清掃ロボットの成長段階をフェーズ1.0と2.0に分けている。以前のフェーズ1.0では、業務用清掃ロボットは新しいモノとして価格も高く、通常は予算が潤沢なユーザーが数台を試験的に購入するのみだった。
ここ数年は人件費の上昇と都市部の人手不足に伴ってフェーズ2.0に入り、経済的また実用的で、優れた性能を持つロボットが求められるようになった。
湯恩智能はフラッグシップモデル「TN70」とコンパクトモデル「TN35/10」という2つの主力製品を発表した。この大小2つのロボットを組み合わせることで、床清掃シーンの90%以上に対応できるという。TN70は容量70リットルの水タンクを備えており、1時間当たり2040平方メートルの清掃が可能で、4~5時間の連続作業ができる。自動ワークステーションを追加すれば、自動で水交換と充電ができ、年中無休の連続作業も可能になるようだ。
ロボットの位置センシングにおいて、同社は視覚センサーとレーザーセンサーを組み合わせたナビゲーションが可能な世界初のシャーシシステムを作り、9種類40個以上のセンサーを独自に開発。ロボットの視覚、触覚、深度測定、距離測定などさまざまなセンシングを支え、走行時の安定性と安全性を確保した。
また、同社は世界的な清掃機器大手のケルヒャーと、サプライチェーンや製品設計をめぐり提携しており、実際の清掃現場に対する理解も深い。例えば、オープン式水タンクやパーツを外しやすい構造を採用することで、他のロボットに比べメンテナンスを簡単にしている。革新的な製品設計の他にも、生産拠点の建設やコア部品の開発を通じて製造コストを下げ、競争優位を確立してきた。
現在はアジア、欧州、北米の三大地域で事業を展開している。欧州および北米市場では製品をリースで提供しており、すでに米国の中華系スーパー99 Ranch Marketで導入されている。崔氏は「スーパーや工場では基本的に3カ月でコストを回収でき、従来のロボットのように1~2年もかかることはない」 と説明している。
創業者の崔氏は中国科学技術大学の英才コース「少年班」を卒業、米メリーランド大学の博士課程を修了した。米国のAI分野で有名なジェフ・ホーキンス氏に師事し、同氏も設立に加わったNumentaで勤務経験がある。
(翻訳・大谷晶洋)
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