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製造や物流などの現場で使われるガントリーロボットの自動化システムを開発する「南通金予博信智能科技(BOSIN)」(以下、博信科技)がシリーズA+で数千万元(数億〜十数億円)を調達した。出資を主導したのは中匯金投資集団(Zhonghuijin Investment Group)で、安芙蘭資本(Amphora Capital)も出資に参加した。
博信科技は2011年に設立され、重量物積載の制御技術を中核に据えたガントリーロボット開発企業で、ロボット、オートメーション、マシンビジョンの三大技術プラットフォームを有する。自社で全面開発したガントリーロボットと産業用モジュール、ソフトウェアビジョンシステムを土台として、新興産業分野向けに多元的な物流マネジメントやサービスを提供する。
同社の目玉製品であるガントリーロボットは、重量物制御やアルゴリズムの技術をコアにして、物流倉庫用、重量物運搬用、太陽光パネル洗浄用と用途別に展開している。これまでに鉄鋼、重工業、リチウムイオンバッテリー、太陽光発電、自動車など多岐にわたる分野の大型プロジェクトに導入されてきた。
新エネルギー分野では、主にリチウムイオンバッテリーや太陽光発電の製造現場で用いられている。
博信科技を創業した呉躍新氏によると、リチウムイオンバッテリーの生産工程で大きな荷重がかかるのは、モジュールをバッテリーパックに格納する作業や完成品の運搬だ。空間を縦方向に活用して重量物を運ぶロボットは、運動制御技術を活用してモジュール生産プロセスでの運搬作業の自動化を実現、効果的に生産効率を上げ、運営コストを削減し、工場内のデータを一元管理できるようにした。
博信科技の製品は電動大型トラックのバッテリー交換にも用いられている。大型トラック用のバッテリーは重さが2〜4トンもある。博信科技ではバッテリー交換に用いるロボットアームの連動システムを採用し、運搬システムと組み合わせて、バッテリー交換の所要時間を2分以内にまで縮め、業界平均より50%も効率を上げた。作業を効率化し、空間を立体的に使うことで、運搬規模100万TEU(20フィートコンテナ100万個分)に対応したバッテリー交換設備の専有面積を500平方メートル以内に収められるという。
太陽光発電分野では、シリコンインゴットの加工や切断作業に用いられている。単結晶シリコンインゴットは重量が最大で1トン前後になるうえ、限られたスペースの作業場に数十から100以上もの切断機を置かなければならないが、ガントリーロボットが切断を終えたインゴットを効率よく運び出していく。
太陽光発電所も博信科技が大きく注目するシーンの一つで、太陽光パネルの洗浄作業を手がけている。
呉氏によると、太陽光発電所の多くは砂塵が吹き荒れ、水資源が乏しいゴビ砂漠などにある。砂埃は太陽光パネルの発電効率や製品寿命に深刻な影響を及ぼすため、どのようにしてきれいな状態を保つかが課題だ。現在は洗浄作業のほとんどが手作業で行われており、時間がかかるうえ、安全面でもリスクが潜む。
博信科技では昨年から太陽光パネル洗浄ロボットに注目しており、年内には製品として発売できる予定だ。同製品の世界市場は約500億元(約9900億円)規模になると見込んでいる。
博信科技の製品は鉄鋼、重工業、自動車などの各産業で導入されており、製造・加工現場で重い半製品を正確に運び、産業のインテリジェント化に貢献している。これまでに国有鉄鋼大手の宝鋼集団(Baosteel Group)、国有鉄道車両大手の中国中車(CRRC)、風力発電機の三一重能(Sany Renewable Energy)、車載バッテリー大手CATL(寧徳時代新能源科技)、国営送電大手の国家電網(State Grid)、フォルクスワーゲン、テスラなど大口顧客と提携関係を結んでいる。
ソフトウェア関連では、自社のコア製品をベースにソフトウェアシステムのモジュールを開発しており、工場内の物流情報を一元化させ、データの追跡や在庫管理・スケジュール管理などのインテリジェント化を実現している。また、リアルタイムの3D輪郭抽出モデリング、外観検査、測位アルゴリズムなどのマシンビジョン技術を確立している。
今回の出資に参加した安芙蘭資本の投資ディレクター魯傑氏は、重量物を扱う物流シーンにガントリーロボットを導入する場合は高い安全性や安定性が求められるとし、とくに重工業分野では、工場内物流の自動化、デジタル化、インテリジェント化などの進み具合がEコマース用物流倉庫に比べて遅れていると指摘。博信科技は設立当初から重量物積載が可能なロボットを手がけてトータルソリューションを築いてきたため、先天的な強みを備えているとした。また、空中で物を運搬する博信科技のソリューションはAGV(無人搬送車)、AMR(自律走行搬送ロボット)と比べても、専有面積やメンテナンス、安全性などの面でメリットがあり、数兆元(数十兆〜数百兆円)規模になるインテリジェント化シーンで将来的に欠かせない役割を担うことになると、同社を評価している。
(翻訳・山下にか)
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