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中国の医療制度は「診療を受けるのが難しく、医療費が高い」と評されてきた。その医療問題の解決に向けて、インターネット技術に大きな期待が寄せられている。
なかでも家庭用スマートデバイスを開発し、それを仲介とした医療サービスを提供するという形態が主流になっており、多くの企業が研究を進めている。「北京健科雲網科技(Beijing Health Cloud Technology)」もその1つだ。同社は医療サービスロボット「医哆咖(YiDoKa)」を自社開発し、家庭向けに手厚いサービスを提供することを目指している。
同サービスは定期的にユーザーの検査データを収集してカルテを作成し、ユーザーや契約医師に提供するほか、医療機関を受診する前にユーザーが自身の病状を知ることができるスマート予診サービスも行っている。電子機器に不慣れな高齢者でも使用できるようAIとの対話で操作する仕組みで、文章や画像、音声、動画など多彩な方法で情報を提供する。
健科雲網のCEO黄海蛟氏によれば、健康意識の高まりとともに、人々のニーズは受け身の治療から積極的な健康管理へと変化してきたという。しかも単なるデータ計測ではなく、その後の分析管理や他サービスとの連携なども求められているというのだ。このニーズを満たすべく、同社は医療サービスロボットを通じてオンライン健康相談や病院予約、健康データ測定、医薬品のオンライン購入など、幅広いワンストップ型医療サービスの提供を目指している。
高齢化が進む中国では医療と介護の連携やスマート介護のニーズが高まっており、黄氏はここに商機を見いだした。中国のスマートヘルスケア・介護産業の市場規模は2017年に2兆2000億元(約34兆7000億円)だったが、2020年には5兆元(約79兆円)を突破すると見込まれている。しかし市場はいまだ開拓段階にあり、プロジェクトの多くは明確なビジネスモデルを確立できていない。黄氏は、今後5~10年でスマートヘルスケア・介護市場は黄金期を迎えるとみており、それまでに足場を固めておきたい考えだ。
医哆咖は2018年10月に試運用を開始し、河北省の家庭に100台を配置してユーザーの健康記録やデータを集めた。現在は販売ルートを順調に広げており、13都市の販売代理と提携に至っている。間もなく大々的な試験事業を行う予定で、病院や介護施設、薬局、企業などの事業者ルートを通じて市場開拓を進めていく。市場に出回っている家庭用健康管理ロボットとは異なり、医哆咖は第二類医療機器に登録されている。今後の医療機関進出を見据えてのことだ。
現在、参入企業の多くは収益モデルを模索している段階にあり、サービスよりも商品の販売を優先しているほか、長期的なサービス運営のポリシーに欠けているという。対して健科雲網は、スマートデバイスをゲートウェイとして、ユーザー、プラットフォーム、医療機関を相互につなぐ情報サービス網の構築を目指しており、他社との差別化を図っている。
黄氏によれば、健康データを計測し管理することは、医療サービスロボットの基本機能の一部にすぎないという。むしろ患者のデータを分析し、医療サービスや生活関連サービスにつなげることこそ、同社が追求し続ける目標なのだ。
(翻訳・畠中裕子)
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