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AI(人工知能)を使った翻訳ソリューションを主力とする「推文科技(funstory.ai)」が今年3月、プレシリーズAで1000万元(約1億5000万円)を調達した。リード・インベスターは「WiFi万能鍵匙(WiFi Master key)」、「連尚文学(Linksure Literature)」、コ・インベスターは「聯想之星(Legend Star)」。今回の資金はAI関連の開発や、ネット文学を海外進出させるコンテンツオープンプラットフォームの構築を加速するために使われる。
推文科技は2017年に設立され、創業メンバーはマイクロソフト、グーグル、アマゾン、バイドゥ(百度)、翻訳プラットフォーム「訳言(YeeYan)」など国内外の企業出身者で構成されている。2018年8月にはエンジェルラウンドで数百万元(数千万円)の資金を調達している。
同社の童鋣CEOによると、中国には800万人のネット小説家が存在し、既存のネット小説数も2000万作近いという。しかし翻訳という問題に阻まれるため、海外に進出できるのは200~300部に過ぎない。
市場調査機関「艾瑞咨詢(iResearch)」が今年6月に発表した「2019年中国ネット文学海外進出リポート」によると、中国のネット文学は海外でも高い人気を誇っており、一定の影響力を持つという。中国ネット文学の潜在的な海外市場規模は300億元(約4500億円)を超える。しかし翻訳のコストが高く、時間もかかることから、海外読者の85.3%は読んでいる小説の更新が遅いことや更新が中止されることに不満を抱いている。また71.6%の読者は「自分の読みたい小説が翻訳されない」と感じている。
翻訳の効率と質を向上させるため、同社は2018年7月にネット文学のAI翻訳システムを開発。同システムにより翻訳業界の効率は3600倍に向上するという(1000字を翻訳するのに人間だと1時間、AIはわずか1秒)。そして100万字を翻訳する場合、人間では10万元(約150万円)かかるところがAIでは1000元(1万5000円)で済むため、コストを従来の1%にまで抑えることができる。
同社のプラットフォーム「funstory」は1秒あたり1000字のアウトプットが可能。人手による校正は不要で、翻訳の品質はまもなく出版可能なレベルに達するという。ワンクリックでKindleやGoogle ブックス、Applebooksなど50社近くの海外大手デジタル出版プラットフォームに発表することが可能だ。
童氏によると、ネット文学関連企業はfunstoryを利用することで、多言語翻訳からデジタル出版、収益化まで一貫したサービスを受けられる。現在、連尚文学、「掌閲科技(IReader Technology)」、「縦横文学(Beijing Huanxiang Zongheng Chinese Literature)」、「磨鉄閲読(Motie.com)」「咪咕閲読(Migu Reading)」など20社近いネット文学の大手企業がfunstoryを利用している。2019年7月時点で、同プラットフォームが1日に更新する英文小説は2600本を超え、1日あたりの更新本数は業界一位となっている。(翻訳・山口幸子)
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