中国の乙女がはまる「男装の麗人」、コスプレイヤーとの課金デートが流行中。時給1万円の人気レイヤーも

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とある中国の街角で、アニメの世界から現れたようなスーツ姿のイケメンがゆったりと手招きする。頬を紅潮させて駆け寄る女性。イケメンは花束を差し出し、彼女をふわっと抱きしめた。2人は手をつないで映画館や火鍋レストランをめぐり、街のあちこちで思い出づくりのツーショットを撮影した。

別れ際、彼女の頭をなでながらイケメンが囁く。「お嬢さま、次のデートもネットで予約してくださるのをお待ちしております」。

このイケメン、実は日本でもリリースされている乙女ゲーム「恋とプロデューサー」の登場人物「ゼン」に扮した女性コスプレイヤー。お嬢さまと呼ばれた女性はフリマサイトで1000元(約2万円)を支払い、ゲームの主人公になった気分でゼンとの1日を楽しんだのだ。

中国の若い女性の間では現在、アニメやゲームのキャラクターに扮したコスプレイヤーとのデートが流行している。ネット上でお気に入りのコスプレイヤーを見つけてデートを予約し、一定の費用を支払ってデートを楽しむスタイルは「cos委託」と呼ばれている。

「小紅書(RED)」より

cos委託のカルチャーでは、身長が高く骨格のはっきりした女性コスプレイヤーが好まれ、男性コスプレイヤーは基本的に排除される。

人気のキャラクターは、乙女ゲームの登場人物のほか、「呪術廻戦」の五条悟や「チェンソーマン」の早川秋といった日本のアニメの登場人物だ。こうしたキャラクターそっくりに装ったコスプレイヤーたちは、一番魅力的に映った写真をSNSの「小紅書(RED)」やフリマサイトの「閑魚(Xianyu)」などに投稿し、デートの依頼を募る。

1時間あたりの費用は数十元(1000円前後)からだが、人気のコスプレイヤーだと400〜500元(約8000〜1万円)と高額な上、2カ月先まで予約がいっぱいになることもある。

依頼者側の女性に選択基準を尋ねてみると、好きなキャラクターを選ぶのはもちろんだが、コスプレイヤーの顔立ちを最も重視するという。写真を選ぶポイントは加工されていないことで、無加工の写真を提供しないコスプレイヤーは選択肢から外される。

「デート中のコスプレイヤーは、私の好きなキャラクターと同じ口ぶりで語りかけ、私の頭をポンポンしながら『今日もきれいだよ』とほめてくれる。指を絡ませる恋人つなぎをしたり、色んな方法で私を可愛がってくれる。アニメやゲームの中の『彼氏』が本当に目の前に現れて、私の心を支えてくれるんです」と依頼者は語る。

「小紅書(RED)」より

コスプレイヤー側も、依頼者の夢をかなえるための努力を怠らない。さまざまな恋愛テクニックを練習し、アニメやゲームの中のイケメンから女性の口説き方を学んでいる。

コスプレ愛好者のAさんは21歳。彼女は学校の休みを利用し、今年3月から流行の「cos委託」にチャレンジしている。これまでに受けた依頼は約20件で、約1万元(約20万円)を稼いだという。

新人のAさんはデート依頼の費用を平均的な価格に設定し、「1時間50元(約1000円)、終日400元(約8000円)、3時間から」としている。彼女はネット上のレッスン動画などでメイクアップの技術を学び、ないはずの喉仏を描き、さまざまな男性キャラクターそっくりの顔を作り出せるよう研究を重ねている。

動画共有サイト「ビリビリ動画」には、「cos委託」関連の動画が1200本以上投稿されている。うち、再生回数の最も多い動画は127秒と短いが、340万回以上再生され、33万2000件の「いいね」がついた。コメント欄で「cos委託」のあり方に疑問を呈するユーザーも少なくないが、寂しさを抱えた中国の乙女たちがコスプレイヤーとのデートに時間とお金を費やすのを止めることはできないだろう。

原文:「AI藍媒彙(WeChat公式ID:lanmeih001)、閻燁

(編集:WANG、翻訳:田村広子)

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