中国の自動車アフターサービス、デジタル化で効率アップ 新エネ車普及に向けた布石も

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自動車のアフターサービスを手がけるテック企業「開思時代科技(Casstime Technologies)」がシリーズD2およびD3で合計2億元(約40億円)を調達した。出資したのは蕪湖信銀資運新能源汽車産投基金(Wuhu New Energy Vehicle Investment Fund)、深圳高新投集団(Shenzhen HTI Group)など。

開思時代科技のこれまでの出資者にはセコイア・キャピタル・チャイナや順為資本(Shunwei Capital)、源碼資本(Source Code Capital)、復星鋭正資本(Fosun RZ Capital)など大手投資機関が名を連ねる。また、今年5月には安徽省政府が進める新エネルギー車・スマートコネクテッドカー産業の成長戦略プロジェクトにメンバーとして加わった。

2015年に設立された開思時代科技は、業界のデジタルインフラ構築に注力し、サービスの業界基準や信用システムの構築も進めてきた。同社の主要事業は、自動車部品のサプライヤーと自動車修理工場をつなぐB2Bプラットフォーム「開思汽配」、完成車メーカーや自動車ブランドなどと大口顧客をつなぐF2Bプラットフォーム「開思集配」、店舗のスマート管理システム「開思1号車間」、サプライチェーンファイナンスなどだ。

開思時代科技が作り上げたデジタルインフラはビッグデータ、AI、ファイナンスに関わるリスクコントロールなどの中核的機能を備えている。同社のプラットフォームには現時点で7000社以上の優良サプライヤーが登録しており、中国国内の376都市で事業を展開、月に300万台以上の車両にサービスを提供している。エンドユーザーの自動車修理工場は25万軒以上に上っており、中国全体の自動車修理工場が約56万軒ということを考えると、半数近くをユーザーとして取り込んでいる計算だ。

開思時代科技が進めた流通経路のデジタル化は同社の中核的な強みでありコアバリューだ。これを基礎として取り扱い製品やサービスを拡充し続け、新規事業を低コストで拡大させてきた。対応車種も当初の高価格帯から低・中価格帯の車種まで徐々に広げ、現在は新エネルギー車も増やしはじめている。

同社の江永興CEOは「中国の新エネルギー車保有台数は現在1600万台に達しており、アフターサービスに対する需要もますます増えてきている。例えば熱管理が必須の新エネルギー車ではコンプレッサーの稼働時間がガソリン車の6倍にもなり、そのぶん不具合が生じる確率も大きくなる。オンライン配車サービスに使われるような営業用車両は走行距離が長いため、すでにこうした問題が顕在化しはじめているが、自家用車も車齢が伸びてくれば同様にアフターサービスの問題が増えるだろう」と述べている。

中国の保険大手・平安保険(Ping An Insurance)や開思時代科技のデータによると、新エネルギー車のオーナーはスピードを出し走行距離が長くなるなど運転習慣が変化しており、事故発生率や保険金給付率はガソリン車を明らかに上回っている。さらに修理費用も割高で、新エネルギー車修理事業の売上高は急激に伸び続けると見られる。

江CEOは「開思時代科技がこれまでにサービスを提供してきた新エネルギー車はのべ200万台を超え、193のブランドに対応しているほか、5000カ所以上のアフターサービス事業所が弊社の店舗管理用SaaSや部品供給プラットフォームを利用している。新エネルギー車の販売台数が伸び続け、アフターサービスの新しい事業モデルが徐々にできあがっていく中で、弊社はデジタル化されたサービスネットワークを通じて、新エネルギー車メーカーに多くのバリューを提供できると考えている」と述べている。

(翻訳・山下にか)

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