アリババクラウド（阿里雲）は9月26日、中国・杭州で開催された「2023アリババクラウド・グローバルサミット（2023 Alibaba Cloud Global Summit）」において、世界中で急速に高まる生成AIへの需要に対応するために、大規模言語モデル（LLM）開発者や企業に向けた一連の最新AI製品とサービスを発表した。 

そのうち、AIコンピューティングプラットフォーム「PAI-Lingjun」は、基礎モデルのトレーニングや推論などの高性能コンピューティングタスクに特化したもので、超大規模なディープラーニングとインテリジェントコンピューティング機能を提供する。さらにAI開発、AIトレーニング、AI役割管理、コンピューティングリソース管理など、フルプロセスのAIエンジニアリング機能も提供される。同プラットフォームは中国本土で既に利用可能で、2024年初頭にはシンガポールでも提供され、その後はアジア全域に拡大する予定だ。

また「アリババクラウドAIアクセラレーションソリューション」にも注目が集まる。このソリューションは最新のデータセットとハードウェアアクセラレーターを活用し、データ集約型アプリケーションの管理とコンピューティングインスタンスの最適な利用によって、AIモデルのトレーニングと推論タスクを迅速化する。スタンフォードDAWNディープラーニングベンチマークによると、AIモデルのトレーニング速度を最大70％高速化し、推論速度を最大3倍高速化できるという。

新製品のほかに、アリババクラウドは企業向けの革新的なアプリケーション開発を促進するため、世界をリードするオープンソース企業「レッドハット（Red Hat）」との提携強化も発表した。レッドハットは、大規模なアプリケーションの構築・デプロイ・管理用プラットフォーム「Red Hat OpenShift 」をアリババクラウド上で運営し、世界の企業がイノベーションや開発を進めていけるよう共同で後押しする。

近年、アリババクラウドは積極的に世界展開を進めている。2022年、同社は海外にデータセンター6か所を新設した。現在、アリババクラウドのネットワークは世界30地域、89のアベイラビリティゾーンに拡大しており、アジア太平洋市場で最大のインフラ規模を持つクラウドコンピューティングプラットフォームとなっている。

日本では、2016年に東京で最初のデータセンターを開設して以来、すでに3か所のデータセンターを抱えている。

（36Kr Japan編集部）