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中国新興電気自動車(EV)メーカーの上海蔚来汽車(NIO)が、多目的スポーツ車(SUV)の「ES8」を対象とするサブスクリプションサービス「悦享会員」を開始した。
会費1万3800元(約21万円)で30日間、「ES8」のナンバープレートを付けたES8を1台レンタルできる。保険や事故対応などをカバーする「NIO Service」や充電サービス「NIO Power」、アフターマーケット・サービス「Fellow」などのサービスも含まれる。期間終了後、NIOの新車を購入した場合、最高1万元(約15万円)の会費が戻ってくる。同サービスは、中国の上海や杭州など22の都市で既に始まっているという。
同社CEOの李斌(ウィリアム・リー)氏は以前の取材で、「NIOは生産や販売以外のサービス事業には100%参入しない。ただみんなが感動できるクルマを提供することに専念したい」と宣言していた。だが、今年の自動車市場は低迷が続き、利益も伸び悩んでいる。そんな中、NIOはやむを得ず「前言撤回」し、レンタカー市場で活路を見出す方向へ向かわざるを得なくなっているようだ。
在庫圧縮や利益拡大のために、自動車サプライチェーンの下流にまでビジネスを広げようとしているのは、実はNIOだけではない。多くの自動車メーカーが中古車の回収や認定サービス、アフターマーケット・サービス、モビリティサービスに乗り出している。
中古車の認定サービスは、新興メーカーの「威馬汽車(WM Motor)」と老舗のジャガー・ランドローバーが既に着手している。アフターマーケット・サービスは、テスラが自社専用の自動車保険「テスラ・インシュアランス」の提供を開始。モビリティサービスは、自動車B2Cの配車サービスやリース、物流などが主流となっている。モビリティサービスに対する市場の需要は高く、参入障壁もそれほど高くないため、メーカーにとっては人気の選択肢の一つだ。自動車大手、北京汽車グループ傘下の配車サービス「華夏出行(BAIC Mobility)」は既に一部事業で黒字化を果たしている。首都汽車の「首汽約車(Shouqi Limousine & Chauffer)」も、上海と深センで堅調に伸びている。
レンタカー事業の難題は、流通の効率性と店舗コストにある。NIOはその点、車は自社で生産し、既存店舗もあるため、車のサブスクリプションサービスを展開するには非常に有利な条件がそろっている。
ただ、先行きはあくまで不透明だ。
今回のサービス対象はES8に限られていることから、ES8の販売促進を狙っていることもうかがえる。
ES8は市場に投入されてから1年間経ったが、バッテリー発火事故の影響に加え、その後コストパフォーマンスがさらに向上した新モデル「ES6」が発売されたことで、従来の強みを失った。今年7月のES8の販売台数はわずか164台と、前年同月比で67%も減少。ピーク時の3318台と比べれば、ユーザーの購買熱は明らかに後退している。果たして、1万元(約15万円)以上の大金を払ってまでES8に乗ってみたいと思ってもらえるのか、今のところは未知数だ。
(翻訳:Ai)
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