SNS大手の「MOMO」が18カ月連続増収 マッチングアプリ「探探」の買収が奏功

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

大企業注目記事

SNS大手の「MOMO」が18カ月連続増収 マッチングアプリ「探探」の買収が奏功

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

位置情報連動ソーシャルアプリを運営する「陌陌科技(MOMO Technology)」は8月下旬、2019年第2四半期の監査前の決算報告を発表した。売上高は前年同期比32%増の41億5300万元(約640億円)で、市場予測の40億3700万元(約620億円)を上回った。親会社株主に帰属する当期純利益は7億3200万元(約110億円)で、前年同期の7億5000万元(約115億円)を若干下回ったものの、市場予測の6億8560万元(約105億円)を上回った。Non-GAAPベースでの親会社株主に帰属する当期純利益は12億4250万元(約190億円)で、前年同期の8億9300万元(約140億円)を上回り、18カ月連続での黒字となった。

決算書によると、GAAPベースの純利益は前年同期比で減少しているが、これは第2四半期に計4億8300万元(約70億円)のインセンティブ・ストックオプションを計上したためだという。これには同社が買収したマッチングアプリ「探探(Tantan)」創業メンバーに対する計3億2400万元(約50億円)のインセンティブ・ストックの費用が含まれている。前年同期に計上した同費用は1億3420万元(約20億円)だった。

ユーザーに関しては、今年6月の月間アクティブユーザー数(MAU)は1億1350万人で、前年同期の1億800万人から増加した。2019年第2四半期のライブ配信サービスと付加価値サービスの課金ユーザーは1180万人(両サービスに重複して登録するユーザーを除外。探探の課金ユーザー320万人は含む)に上り、前年同期の1160万人(探探の2018年6月の課金ユーザー310万人を含む)を上回った。

好調な業績が好感され、決算報告発表後のMOMOの時価総額は約68億ドル(約7300億円)となった。

ショートビデオアプリの人気がライブ配信事業の打撃となっているほか、ライブ配信業界自体も利用者の減少という苦境に陥っているが、MOMOの同四半期のライブ配信事業の売上高は、課金ユーザーの増加が奏功して前年同期比18%増の31億元(約470億円)と2ケタ成長を維持した。また付加価値サービス事業の売上高も、前年同期比169%増の9億4800万元(約145億円)と3ケタ成長を記録した。これは主に、UX(ユーザーエクスペリエンス)向上を目指して実施された課金プランの拡充が、バーチャルプレゼント(投げ銭)サービスの伸びに繋がったためだ。パフォーマンス的要素の強い他のライブプラットフォームに比べ、SNSサービスを軸とするMOMOは、ユーザーの高い継続率とリピート率がより強力な武器となっている。

とはいえ、経済環境に起因して広告主のマーケティング投資額が縮小していることや、広告主がショートビデオサービスへ流れていること、さらにはゲーム業界全体が今なお回復段階にあることから、MOMOのマーケティング事業およびゲーム事業の売上高は大きなダメージを受けている。モバイルマーケティング事業の売上高は7620万元(約11億6600万円)と前年同期の1億4200万元(約21億7000万円)から大幅に減少したほか、モバイルゲーム事業の売上高も2320万元(約3億5500万円)と前年同期の3478万元(約5億3000万円)から減少した。

製品マトリックスにおける売上高の比率をみると、主力アプリ「MOMO」では依然として安定成長がみられるが、探探の収益化も加速しつつあり、増収のさらなるけん引力となっている。

主力アプリの純売上高は、前年同期の31億2000万元(約480億円)から38億6500万元(約590億円)に増加しており、ライブ配信サービスと付加価値サービスの顕著な伸びがその主因となった。また同四半期の探探の純売上高は、付加価値サービスの売上増が貢献し、2億8500万元(約40億円)に増加した。探探の売上高は昨年6月から連結決算の対象となっており、前年6月の売上高は3100万元(約4億7000万円)だった。

一方で探探の営業損失は4億3100万元(約70億円)だった。探探はしばらくサービス停止となった期間があり、MOMOの売上高全体に一定の影響を与えたが、負の影響は相殺されつつある。

探探の目覚ましいパフォーマンスについては、MOMOの董事長兼CEOの唐岩氏も財務諸表の中でこう指摘している。「7月中旬に探探のダウンロードと決済サービスを全面的に再開して以降、ユーザー数や売上高といった核心的指標において力強い上昇がみられる。これらは中国のオンラインソーシャルサービスに対する旺盛な市場ニーズの表われであり、探探が同市場において特別な位置を占めていることを裏付けるもの。今後数年以内に探探が当社の重要な成長エンジンとなることに期待している」

原価および費用に関しては、前年同期比44%増の33億8680万元(約520億円)となっており、増加の主な原因は、従業員関連費用の増加(インセンティブ・ストック)、ライバーに対するバーチャルギフトなどのレベニューシェア増加、ユーザー獲得とライブ配信サービスのPR業務に使用するマーケティング・販売促進費の増加など。

今年6月末の時点で、MOMOの保有する現金および現金同等物、預金および短期投資額の合計は124億9000万元(約1900億円)で、昨年12月末の時点では112億9300万元(約1700億円)だった。今年第2四半期の営業活動によるキャッシュフロー純額は、前年同期の9億9240万元(約150億円)から増加し14億2200万元(約220億円)だった。

翌四半期の業績に関しては、純売上高は42億5000万~43億5000万元(約650億~670億円)、前年同期比で17~19%増となることが予想されている。(翻訳・神部明果)

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録