全固体電池の電解質材料、量産化に向けて急ピッチで開発進む中国メーカー

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固体電解質材料や界面コーティング材料を開発する中国企業「陝西瑞智新能源科技(REnergy Tech)」がこのほど、2回にわたるエンジェルラウンドで数千万元(数億~十数億円)を調達した。萃英創投(Cuiying Venture Capital)、湖南湾田集団(Wantian Group)、西北工業大学が共同で出資した。

瑞智新能源は、西北工業大学の新エネルギー電池分野の研究成果を実用化するため、2021年に設立された。リチウムイオン電池向け固体電解質材料の研究開発や生産を手がける企業として「国家ハイテク企業」に認定されている。リチウムイオン電池の機能性隔膜と固体電解質膜を主力製品とし、多方面から電池性能を向上させることに注力する。

目下、液系リチウムイオン電池の性能向上が限界に達しつつあるため、新たな電池技術としてエネルギー密度や安全性が高く、サイクル寿命の長い半固体・全固体リチウムイオン電池の開発が求められている。

このような市場のニーズに応えるため、瑞智新能源ではエネルギー貯蔵・変換デバイスやその主要材料に重点を置き、複数のコア技術の開発に取り組んできた。その結果、知的財産権を持つ機能性隔膜と固体電解質膜の開発に成功、製品はリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池、液体・半固体・全固体などさまざまな種類の電池に活用できる。

共同創業者の王鑫CEOによると、同社は既存の電池メーカーにコストパフォーマンスに優れた機能性コーティング膜(第1世代)を提供しながら、市場の成長パターンとタイミングに応じて、高エネルギー密度かつ安全性の高いリチウムイオン電池用イオン補充型隔膜(第2世代)と固体電解質膜(第3世代)の生産も進めるという。

第1世代の機能性隔膜は、トップクラスの電池メーカーを含む複数社と開発・試験・供給で協業する体制ができており、業界でも広く認められている。第2世代のイオン補充型の機能性隔膜と第3世代の固体電解質膜はベンチスケール試験を終えた段階だ。これを組み込んだプロトタイプの電池はエネルギー密度が450Wh/kgに達し、エネルギー密度のほか耐高温性や安全性を極限まで高めて、シビアな場面にも対応できるようになっている。

第1世代の製品はすでに量産を始めており、市場出荷量の多い電池向けの高コスパ商品として同社の主な収入源となっている。第2世代は来年の主力製品で、新たな資金調達が完了してから本格的な生産に入る。第3世代の製品開発も同時進行している。

同社は2022年に陝西省が主導する重点研究プロジェクトに参加した。主要材料開発の研究室、主要材料試験プラットフォーム、特殊セル組立検査プラットフォームを保有しており、機能性隔膜を年間1000万平方メートル生産できる生産ラインもすでに完成している。

次世代の全固体電池業界をリードすること、これが瑞智新能源の抱くビジョンと目標だ。同社は今後も研究開発と製品のイノベーションに力を注ぎ、全固体電池産業の発展を後押ししていく決意でいる。

*2023年11月16日のレート(1元=約21円)で計算しています。

(翻訳・畠中裕子)

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