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カーシェアリングが再び市場再編の時期に入り、各企業が、より緻密な運営に取り組み始めている。
先日、ハイヤー事業などを手掛ける「北京首汽智行科技有限公司(Shouqi Group)」の開発した「GoFun出行」アプリ5.1.2版が正式にリリースされた。新版では、運営ルール、ユーザー体験など各方面にわたって最適化されている。
カーシェアリングとオンライン配車サービスはシェアサイクルと同様に「ヒト」と「クルマ」双方向の市場である。運営効率の向上には、ユーザー体験の向上と車両回転率の向上が含まれる。
利用者側の問題としては、ユーザーのマナーの悪さが企業の運営コストを引き上げているという面がある。GoFun出行アプリの新バージョンではユーザーに対する評価システムを取り入れ、既存のデータベースからユーザーの行為に格付けを行い、配車の優先度に結び付ける。利用の仕方が「普通」「優秀」「非常に優秀」とされたユーザーは高級車両や特典プランなどを利用することができ、「不良」「高リスク」とされたユーザーには利用価格が上乗せされ、選択できる車両も限られるという。
GoFun出行はこれ以前にも車両の「委託管理モデル」を発表。ユーザーはGoFun出行のプラットフォーム上で使わない自身の車両をシェアすることができる。
今回のアプリのアップグレードは先月社内で通達された内容を実現したものだという。同社の譚奕CEOは社内通達の中で「ユーザー体験の全面的なレベルアップ計画」を打ち出すとしていた。同氏によると、GoFun出行は現時点で全国80以上の都市に4万台余りの車両を投入し、3年間で4000万件を超えるサービスを提供したという。
2018年、シェアサイクル大手「ofo」のデポジット返金遅延騒動の後、カーシェアリングの各ブランド「TOGO途歌」「立刻出行(LIKE)」「力帆汽車(LIFAN MOTORS)」傘下の「盼達用車(PAND-AUTO)」などにも同様にデポジット返金問題が発生した。このほか、独ダイムラー傘下のカーシェアリング「Car2go」が中国市場からの撤退を発表。O2Oサービス大手「美団点評(Meituan-Dianping)」も昨年11月に1年近く運営したカーシェアリング事業を停止している。
利益を上げることが難しく、ユーザーのマナーも悪く、資金繰りが困難などといったプレッシャーがある中、カーシェアリングのプラットフォームは昨年から業界再編の時期に入り、投資やユーザー心理は冷え込んでいる。これからは運営効率の向上が、その企業が同分野で黒字化できるかどうかのポイントになるだろう。
Gofun出行を除くその他のカーシェアリングブランドも運営効率の向上に策を講じている。
EVシェアリングサービス大手の「EvCard」は車両の使用シーンを増やすとし、出勤や交通ターミナル、レジャーなどのシーンにおける利用を強化。中国ライドシェアサービス最大手の「滴滴出行(Didi Chuxing)」傘下の「小桔車服(xiaojuchefu)」も滴滴出行のビッグデータに基づき、車両の投入地域や数量の予測を行い運営効率を向上させている。サービス形態では短期のレンタルサービスや複数地域にまたがるレンタカーサービスを打ち出している。
業界が昨年の暗黒期から抜け出し、ユーザーが戻ってきているという良いニュースもある。調査会社「易観(Analysis)」のレポートによるとカーシェアリングプラットフォームの月間アクティブユーザー(MAU)増加率はすでに今年初めのマイナス8%から5月時点で9%へと成長しており、ユーザーの平均利用時間にも増加がみられる。
もちろん企業側の努力だけではなく、ユーザーも利用マナーの向上を心がける必要がある。そうしてこそカーシェアリングのエコシステムを健全に持続させることができるからだ。
(翻訳・山口幸子)
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