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中国北京市朝陽区にあるケンタッキーフライドチキン(KFC)藍橋店の入り口に、縦型の冷蔵庫が置かれている。KFCが設置したフードステーションで、地域の住民や配達員、清掃作業員がやって来て、冷蔵庫から包装された食品を持っていく。
中国ではここ数年、食品ロスを根本から解決し環境汚染を減らすため、各地でフードステーションや「剩菜盲盒」(売れ残った食品の福袋・ブラインドボックス)などが各地に登場している。これらは政府や飲食企業、公益団体が音頭を取り、品質保持期限内の余剰在庫を特別価格で販売したり、公共福祉の観点から無償配布したりする新しい消費モデルだ。
KFCは2020年にフードステーションプロジェクトを立ち上げ、一部店舗で余剰食品(品質保持期限が近く、通常商品として販売できない食品)を必要な市民に無償で配布している。藍橋店のマネージャーは「売れ残った食品があると、翌日の午前と午後の2回に分けて出している。ほとんどその日のうちに引き取られていく」と紹介した。同市東城区にあるKFC珠市口店で、以前余剰食品を受け取ったことがあるという若者の趙さんは「フードロス問題を解決するための良い方法だ。普段は仕事時間が不規則で、食事を食べ損なうことが多いが、フードステーションができたおかげで、仕事終わりに食品をもらって帰り、家で温めて食べられるようになったのでとても便利だ」と話した。
今年に入って広東省や福建省、江蘇省などの地方政府部門が企業と協同でフードステーションを相次いで設置している。広東省深圳市福田区では10カ所の街道に設置され、利用者は延べ6万1千人を超えた。
フードステーションの他にも「ブラインドボックス経済」の流行が余剰食品の新たな行き先を生み出している。多くのインターネット企業が飲食企業と協力し、オンラインと対面式のハイブリッド形式で価格面での優位性を築きながら余剰食品を「ブラインドボックス化」して販売を加速させている。この販売形式は現在、北京市や上海市、江蘇省南京市などで静かなブームとなっており、「アラームをセットしておかないと、もたもたしていると買えない」と語るネットユーザーさえいる。
湖南省長沙市に住む26歳の女性、孫さんは「余剰食品ブラインドボックス」のリピーターで、「最初は12.9元(1元=約20円)でパンを2つ買った。朝食を安く済ませられるので、よく利用するようになった。ブラインドボックスの面白さは何が手に入るか開けるまでわからないところで、とても斬新だ」と語る。
北京市弁護士協会消費者権益委員会の饒偉副主任は「余剰食品ブラインドボックス」について、取引が成立しなかった食品に再販の可能性をもたらし、販売業者の運営コストを下げ、消費者がコストパフォーマンスの高い食品を購入できるようにすると同時に、フードロスの削減にもつながると指摘した。中国情報協会の朱克力常務理事は、食品ロス削減と環境保護は現代社会の重要なテーマで、飲食業界は監督管理や評価を強化して、環境保護が真の成果を生むよう引き続き努力しなければならないと述べた。また、一般消費者への教育や働きかけを強化し、環境保護に対する意識や参加を高め、飲食業界のグリーン(環境配慮型)な発展を共同で推進する必要があるとした。(新華社北京)
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