「値上がりは金より激しい」 中国の若者が真珠に熱狂、日本のアコヤが価格暴騰

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中国浙江省諸曁市の山下湖鎮は、世界最大の淡水真珠の生産販売地だ。2023年に入ってからは、地元の真珠卸市場「華東国際珠宝城」を訪れる観光客が1日最高2万人に達し、真珠を買い求める若者が至るところで列を作っている。

今年は真珠の価格が2倍以上に値上がりし、高品質の海水真珠では3~4倍にもなると、真珠産業の関係者は口をそろえる。これまで低ランクと見下されていた淡水真珠も、今年に入ってからは売れ筋商品へと姿を変えた。

淡水真珠、海水真珠いずれも、品質の高い真珠ほど値上がり幅も大きい。現在、海水真珠の大部分は日本やオーストラリアから輸入しており、淡水真珠は浙江省諸曁市山下湖で生産される(山下湖が生産する淡水真珠は世界の70%、中国国内の80%を占めている)。このところ、中国の宝飾品企業が国際宝飾品展示会で日本産などの真珠を大量に買い付け、真珠の価格が高騰している。報道によると、日本のアコヤ真珠の市場価格は昨年に比べ2~3倍に値上がりし、多くの宝飾店で品切れが相次いでいるという。例えば、2013年に約10万円で販売されていた8.0mmのアコヤ真珠セットが、23年には30万円近くにまで値上がりしている。真珠は生産量そのものが少ないことに加え、円安による真珠ブームがアコヤ真珠の価格をさらに押し上げている形だ。

諸曁市の真珠販売業者によると、今年の真珠の値上がりは激しく、金をしのぐ勢いだという。特に海水真珠はほとんどが2倍に値上がりし、ものによっては3~4倍になる。海水真珠の中でも最高クラスの南洋白蝶真珠のうち、テリや形が特に美しいものはオーロラヴィーナスと呼ばれる。15mmのオーロラヴィーナス1粒の価格は、以前の1万円余りから現在では2万6000円ほどになっている。

この激しい値上がりに直接関わっているのが生産量だ。データによると、2022年の日本の真珠生産量はわずか13.2トンと、18年から40%減少している。淡水真珠の生産量も年々減っており、浙江省真珠産業協会のデータでは、全国の淡水真珠生産量は20年の100万キロから、21年には80万キロ、22年は約70万キロと減少傾向にある。諸曁市の淡水真珠養殖業者の多くは販売できる真珠の在庫がない状態で、このブームにあやかろうと多くの新たな養殖業者も現れているという。

さらに、芸能人の影響やオンラインマーケティングにより、若い消費者が大量に真珠を購入するようになった背景もある。23年には多くの芸能人が真珠を身に着けて公式の場に登場し、ある芸能人が着用したサークル真珠のネックレスが爆売れしたこともある。また、中国のネットショッピングで盛んなライブコマースも真珠人気に拍車をかけている。広東省深圳市のある宝飾品企業の開発デザイン責任者は、同社のライブコマースを通じて真珠を購入する消費者の50%以上が若者だと話す。

真珠市場は空前のブームに沸いているが、業界の内情は混沌としている。

一つ一つ異なる真珠は価格基準を設定することが難しく、事業者の裁量が大きくなる。どの販売業者も価格を提示するときには「真珠は金と違って一つとして同じものはなく、サイズやテリ、形、傷の有無などで価格は変わってくる」とお決まりの説明を繰り出す。ある業界関係者は「グレードの良い真珠1粒なら20~30元(400~600円)で卸し、自分でライブコマースを行う場合は80~90元(1600~1800円)で販売する。業者によってはさらに上乗せして1.5倍の値段で販売している」と語る。

また、鑑別書の有無によっても真珠の値段は大きく変わってくる。ある真珠販売スタッフは、鑑別書付きの真珠だと数千元(数万~十数万円)は高くなると話す。特に海水真珠は通常、日本に送って鑑定するため、さまざまな税金なども加わり価格が上がるという。

さらに、販売業者が顧客から買い取った真珠を販売することもあり、場合によっては中古品をつかまされることもある。偽物を本物の真珠と偽って売るケースも後を絶たず、一般消費者が見極めるのは非常に難しい。

*2023年12月20日のレート(1元=約20円)で計算しています。

(翻訳・畠中裕子)

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