EVのBYDだけじゃない!編集部が2023年に注目した日本進出の中国ブランド8選(下)【年末特集】

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EVのBYDだけじゃない!編集部が2023年に注目した日本進出の中国ブランド8選(下)【年末特集】

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海外進出に積極的な中国企業の多くが今、日本市場に目を向けている。すでに日本でビジネスを展開している代表的な企業としては、IT大手のアリババグループやテンセント、TikTokのバイトダンス、通信機器大手のファーウェイ、ゲーム大手のネットイースや人気タイトル「原神」で知られるmiHoYo、家電大手のハイアールやハイセンスなどが挙げられる。2023年は新たに日本市場に参入した企業も加わった。

36Kr Japan編集部では、とくに注目すべき中国企業の日本進出についてまとめた。

上篇はこちら:EVのBYDだけじゃない!編集部が2023年に注目した日本進出の中国ブランド8選(上)

(5)BytePlusーインテリジェント・ソシューション

TikTokをはじめ世界的なヒットアプリを数多く生み出すバイトダンス(ByteDance)は23年7月、法人向けサービス「BytePlus」を本格的に始動させた。自社プロダクトを大成功に導いてきた機械学習に基づくレコメンドシステムや広告分析ツール、音声・ビデオ技術などのコアテクノロジーをBytePlusに結集し、オープン市場に提供する。

BytePlusは現在、日本のほか英国を含む欧州各国や東南アジア諸国、アラブ首長国連邦(UAE)、韓国など30カ国以上で事業を展開している。中でも日本を最重要市場の一つと位置付けており、すでに日本最大級の小説サイト「テラーノベル(Teller Novel)」、アルバイト求人プラットフォーム「バイトル」、ファッションEC「BUYMA(バイマ)」、カラオケ動画コミュニティ「KARASTA(カラスタ)」などを顧客に抱えている。

日本の産業は転換期を迎えている。各業界では急速なビジネス環境の変化に対応するため、デジタルトランスフォーメーション(DX)のニーズが高まっている。BytePlusはこれを大きなビジネスチャンスと捉え、豊富な技術リソースやマーケティングノウハウなどを生かし、幅広い業種に向けてトータルなビジネス・インテリジェンス・ソリューションを提供していく考えだ。

今後は、企業のビジネス拡大やDX支援事業を中心に日本事業を強化し、ECやエンターテインメント、人材サービスなど重点業界の顧客開拓に注力する。また、提携パートナーの開拓や人材採用も積極的に進めていく予定だという。

世界最高峰のレコメンド技術、日本に到来。DXを知り尽くしたBytePlusが示す勝ち筋

(6)単向街書店:カルチャー

中国の有名独立系書店「単向街書店」は23年8月26日、東京・銀座1丁目に海外初の店舗「One Way Street Tokyo」をオープンした。専門スタッフが丁寧にセレクトした中国語の書籍のほか、日本語や英語の作品も取りそろえている。

単向街書店は2006年に北京市内に1号店をオープン。独自のセンスでセレクトした文化・美術・建築・都市関連の書籍がそろうことから、感度の高い人々の間で徐々に知名度を上げていった。現在の単向街書店は単なる書店の枠を超え、出版やオリジナルグッズの販売、ギャラリー、文化サロンなど複数の機能を備えた総合文化空間に成長している。

オープン初日にOne Way Street Tokyoを訪ねると、責任者が「書籍販売だけで収益を上げることは考えていない。書店ビジネスは短期的なリターンを求めるものではなく、長期的な忍耐を覚悟して進める必要がある」と話してくれた。

在日中国人は東京だけで25万人いるにもかかわらず、本当に質の高い中国の書籍が提供される場所は限られている。One Way Street Tokyoは、彼らの基本的なニーズを満たしたうえで、中国語のほか日本語や英語、韓国語などで書かれたアジアの歴史と文化に関連する書籍を販売するとともに、知的ライフスタイルを提供することに焦点を当てる。

日本には、業界の手本となる新たな形の書店があり、蔦屋書店や台湾発の誠品書店などが成功を収めている。内山書店など中国書籍専門の老舗もある。その中で、単向街書店は差別化を図るため、One Way Street Tokyoをアジア文化の「ハブ」とし、アジア文化でつながるコミュニティの構築を目指すという。

「ここをアジア文化のハブに」、中国独立系書店「単向街書店」が東京・銀座に海外1号店

(7)BLUETTI:ポータブル電源

ポータブル電源市場が2020年以降、爆発的に成長している。とくに中国は、部品の製造コストや人件費に優位性があり、サプライチェーンも整っているため、ポータブル電源の生産拠点が集中している。中国メーカーのポータブル電源の出荷台数は、世界全体の9割以上を占めるという。

現在のところ、ポータブル電源の主な市場は米国、欧州、日本などとなっている。とくに日本ではアウトドア産業が発達しており、屋外で電化製品を利用できるポータブル電源の需要が高い。また、自然災害も多いため、非常用電源装置としてのポータブル電源も注目されている。中国のポータブル電源メーカーは日本市場に大きな可能性を感じ、多くの企業が進出を加速している。

中国・深圳に本社を置くポータブル電源メーカーの「BLUETTI(ブルーティ)」はこれまで、主に個人ユーザー向けのポータブル電源をEC経由で販売してきた。そして22年8月、新たなニーズの高まりを背景に、法人や行政向けにビジネスを展開する「ブルーティパワー」を日本で設立した。ブルーティパワーは同年末、災害の備えや節電など幅広いニーズを持つ顧客が直接商品を手に取れる場として、東京・神田に直営店をオープンした。ポータブル電源専門店の出店は日本では初となる。同社の説明によると、防災意識の高い企業や組織からの相談が増えているという。同年末には、埼玉県朝霞市の自治会の防災倉庫にポータブル電源を納入している。

電気代節約、防災物資のニーズ高まるポータブル電源~完全自社生産のブルーティ、神田に直営店オープン

(8)Dreame:スマート家電

日本の家電量販店ではここ数年、中国ブランドの製品が目を引く場所に置かれるようになった。品質に厳しい日本市場で、中国家電はもはや「安物」の代名詞ではなくなり、かつて売り場の「主役」だった国内製や欧米ブランドを上回る勢いで人気を伸ばしている。

英調査会社ユーロモニターインターナショナルのデータによると、ハイセンスの日本でのテレビ販売台数シェアは、17年にはわずか2.4%だったが、21年には12.9%に上昇。ランキングは5位に急上昇し、首位のシャープとの差をわずか約9ポイントに縮めた。

中国家電が日本を席巻、若者中心にシェア急拡大

現在は、従来型の家電製品を手がける大手メーカーだけでなく、「スマート家電」を手がける新興メーカーも日本市場に進出し、頭角を現しつつある。

スマートフォン用充電器などで知られる「Anker(アンカー)」は、持ち運びしやすい家庭用プロジェクターがテレビ離れの進む若者に支持され、業績を拡大している。日本の調査会社BCNによると、21年の日本のプロジェクター市場で、アンカーは販売シェアを14.8%に伸ばし、業界2位に急浮上した。

ロボット掃除機の有力メーカー「追覓科技(Dreame Technology)」(以下ドリーミー)は23年6月、日本市場に本格参入したと発表した。

ドリーミーは17年に設立され、主にAIロボット掃除機やコードレス掃除機、水拭き掃除機、ヘアドライヤーなどを提供している。世界トップクラスの高速モーターやマシンビジョンなどのコア技術を強みに、わずか約6年間で従業員2000人規模の企業に急成長を遂げ、現在は中国、アメリカ、ドイツ、フランス、韓国、そして日本など世界120以上の国・地域で事業を展開している。

日本市場にはロボット掃除機や水抜き掃除機など6機種以上の製品を投入。エントリーモデルからハイエンドモデルをカバーし、独身者や子育て中のファミリー、高齢者のいる家庭など、さまざまな利用者のニーズに応える。

“猫のように”家中きれいに。全自動ロボット掃除機「DreameBot L10sUltra」を試してみた

中国生まれの製品やサービスは日本市場に少しずつ浸透し、徐々に評価を高めている。「メードインチャイナ」はかつての安かろう悪かろうというイメージを払拭し、日本の消費者の生活の一部として活躍の場を広げていく。

(36Kr Japan編集部:WANG・田村広子)

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