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プロスポーツリーグにとって、影響力は最も重要なものだ。それにより版権およびIP商品の価値が決まるため、影響力の向上は全てのプロリーグのKPI(重要業績評価指標)だ。
NBA中国にとって、いかにより多くの中国のユーザーにNBAの試合を見てもらい、彼らにNBAブランドを認知させ、消費してもらうかは重要な課題だ。
NBAは中国国内でニューメディアの版権を5年間15億ドル(約1600億円)で販売しており、さらにIPライセンスの提供とオリジナル商品の販売も売上の一部に貢献している。後者が全体に占める割合は非常に小さいが、NBAは中国におけるスポーツIPの影響力を拡大するために最も積極的に活動しており、最も成果を収めていると言ってよいだろう。
これらマーケティング活動の拡大により、NBAの版権の価値は上がっている。先日、NBAはECサイト「天猫(Tmall)」と提携して湖南省長沙市でファンイベントを開催した。会場ではバスケットボールの試合だけでなく、ラップやストリートダンスなどの催しも行われ、NBAの往年のスーパースターであるスコッティ・ピッペン氏と中国の有名ヒップホップ歌手なども参加した。
オフラインイベントの開催と同時に、NBAはオンラインでも中国の大手乳製品メーカー「蒙牛(Mengniu Dairy)」や有名スポーツ用品メーカー「安踏(ANTA)」などNBA中国のパートナーブランドと提携してファンイベントを開催し、ブランドのEC売上に貢献した。
イベントを開催することにより、ファンがNBAカルチャーに触れられるようにすると同時に、オンライン上でも多くの接点を持つことができるようにし、パートナーブランドが試合以外の部分でも利益を得られるようにしている。
商品と広告効果を組み合わせた取り組み
広告には、ブランド広告、運用型広告があるが、広告主は後者の投下に力を入れており、ニュースアプリの「今日頭条(Toutiao)」やテンセントのようなネットワークチャネルでは、運用型広告の方がブランド広告よりもはるかに重視されている。
NBAは知名度の高いブランドであり、広告主はNBAとの契約において主にNBAブランドがもたらす認知度向上を重視している。これもスポーツIPが備えるメリットだ。「トップスポンサー」の枠や、テレビ中継の際に広告の枠を提供することは通常プロスポーツリーグがスポンサーに対して提供する権益だが、変化が激しい中国市場では、それだけでは十分ではない。
それゆえ、NBAという巨大なIPを幅広く活用する必要がある。「ファンイベントは商品と広告効果を組み合わせた取り組みであり、商品のプロモーションと同時にブランド力を発揮する狙いがある」とNBA中国の銭軍COOは語り、さらに蒙牛を引き合いに出して、同社がスポンサーとしてレギュラーシーズン、プレーオフで広告を出すことで、健康やヘルスケアという蒙牛のブランドイメージを周知および向上させることができ、ファンイベントではバスケットボールファンやNBAファンが蒙牛の商品を購入するようになると語った。
ビジネスの背後にあるもの
テンセントが最終的にNBAデジタルメディアの独占放映権を手にしたとはいえ、それが天猫やアリババとの提携を阻むものとはならない。
NBA中国が天猫で旗艦店を開店した2012年、当時の放映権はネットサービス大手「新浪(SINA)」が持っていたが、そのことは提携の妨げにならなかった。ECプラットフォームにとって双方向性と参加型のコンテンツは受け入れやすい。参加意識と双方向性はNBAがユーザーの開拓に用いている方法だ。それゆえ、ヒップホップやスポーツシューズなどのファッショナブルな要素を取り入れているのだ。ファンイベントには女性ファンの姿もよく見られる。
単なる商業活動以外に、NBAの取り組みにはブランドの社会性を示す動きもみられる。銭軍氏によると、NBA中国の活動における重点には、消費者の心を動かすこと、バスケットボールの普及とビジネスの開拓が含まれている。
銭氏がビジネスパートナーと共有したいと考える共通認識はファンたちへのサービスだ。ビジネスの後ろで行われているNBAの取り組みにそれが表れている。NBA中国は青少年に対するサービスを展開しており、この4年間ずっとジュニアNBAリーグ戦を実施し、教育的視点から青少年がスポーツを知り、体験することを奨励してきた。このような非営利活動の狙いはNBAブランドに対する社会的好感度の蓄積だ。「正しいことを長期的に行う」と銭氏は語り、バスケットボールリーグの最高峰として、NBAにはバスケットボールを普及する責任があり、ビジネスはその手段でもあるとしている。
(翻訳・虎野)
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