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中国の経済メディア第一財経によると、中国の通信機器大手ファーウェイ(華為技術)は9月23日、中国の携帯電話メーカー「深圳伝音控股股份有限公司(伝音、Transsion)」とその子会社を著作権の侵害で深圳中級人民法院に提訴した。伝音の一部機種がファーウェイと同じホーム画面を使用しているとして、1000万元(約1億5000万円)程度の損害賠償を求めているという。
1000万元程度と損害賠償の額が小さいにも関わらず、このニュースが注目されたのは、伝音が9月30日にハイテクベンチャー向け株式市場「科創板」への上場を控えていたためだ。銘柄略称は「伝音控股」、証券コードは「688036」。
伝音は、携帯電話の「TECNO」、「itel」、「Infinix」のほか、デジタルアクセサリーの「Oraimo」や家電の「Syinix」、アフターサービスの「Carlcare」を展開している。携帯電話はフィーチャーフォンが中心となるため、中国国内で伝音の製品をみかけることはほとんどなく、アフリカやインド、東南アジアが主な市場となっている。アフリカでは半分近いシェアを握り、「アフリカの携帯電話王」と呼ばれている。
IT専門調査会社IDCのまとめによると、伝音の2018年の携帯電話出荷台数は1億2400万台で、世界シェアは第4位の7.04%に達した。アフリカでのシェアはトップの48.71%、インドでは第4位の6.72%だった。
毎年1億台余りの携帯電話を販売している伝音だが、専利(特許、実用新案、意匠の総称)の保有件数は少ない。目論見書によると、伝音とその子会社が国家知識産権局に登録した中国国内の専利は計630件で、うち特許権は97件、実用新案権は385件、意匠権は148件となっている。
一方、シャオミ(小米科技)による2017年の専利申請件数は年間664件と、伝音の保有件数を上回る。ファーウェイ、シャオミ、OPPO、vivoといった大手スマートフォン(スマホ)メーカーの専利保有件数はいずれも1万件を超え、なかでもファーウェイは10万件以上に達している。
伝音は現在、スマホの販売比率も高めている。目論見書によると、2019年1~6月のスマホ販売台数は1657万台、フィーチャーフォンは3815万台で、スマホの販売台数、販売額、販売比率はいずれも上昇した。伝音がスマホ市場に傾注するにつれ、専利の保有件数を増やして競争力をつけると同時に、専利権侵害訴訟リスクを抑えることが不可欠になってくる。
同社自身も目論見書で専利権侵害訴訟のリスクに言及している。貸借対照表の負債の部には、将来見込まれるアフターサービス品質保証費及び専利権使用料等として、2019年6月末、2018年末、2017年末時点でそれぞれ8億1700万元(約123億円)、7億4500万元(約112億円)、5億3500万元(約81億円)を計上。うち専利権使用料は、伝音が販売する自社ブランドの携帯電話がライセンス契約を結ばずに第三者保有の専利権を使用した場合に支払いが想定される金額を指すとしている。
(翻訳・神戸三四郎)
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