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中国の安徽省量子情報工学技術研究センターと量子通信関連製品メーカーの科大国盾量子技術はこのほど、国産の量子コンピューター用希釈冷凍機「ez-Q Fridge」について、引き渡し後の性能試験を完了し、実運用の指標が同種製品の国際的主流とされるレベルに達し、商用と量産が可能な国内初の超伝導量子コンピューター用希釈冷凍機になったことを共同で発表した。
極低温は超伝導量子コンピューターを動作させる必須条件となっている。希釈冷凍機は絶対零度に近い超低温環境を提供することができるハイエンドな科学機器で、超伝導量子コンピューター内の部品を冷却し、安定した状態を保つために使われる。
中国は長年、希釈冷凍機を輸入に依存し、量産かつ使用可能な国産品に事欠いていた。中国科学技術大学と科大国盾量子技術はチームを組んで難関に取り組み、国産希釈冷凍機「ez-Q Fridge」の開発に成功した。冷媒として液体ヘリウムを用いる従来の湿式希釈冷凍機と異なり、「ez-Q Fridge」は液体ヘリウムを必要とせず、機械式冷凍機を使ってヘリウムの2種類の同位体混合液を希釈して冷却する。こうした乾式希釈冷凍機には利用できるスペースが大きく、安全性と信頼性が高く、連続作動時間が長く、運用・保守の利便性が高いというメリットがある。
科大国盾量子技術は23年下半期(7~12月)、科学研究機関2機関に「ez-Q Fridge」を引き渡した。試験の結果、希釈冷凍機は長時間連続で安定的に作動し、運用効果も良好だった。
安徽省量子情報工学技術研究センターの副主任を務め、科大国盾量子技術で量子コンピューティングを担当する王哲輝氏は「同種の超伝導量子半導体が私たちの希釈冷凍機で発揮した能力や測定された指標は、海外製品を使用したときと同程度だった」と明かす。「ez-Q Fridge」は量産と商用を実現し、量子コンピューティングの産業化を促すことが可能であり、中国の物性物理学、材料科学、深宇宙探査など科学の最先端技術分野でさらに多くの役割を発揮するとの見通しを示した。(新華社合肥3月2日)
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