中国B級グルメ「麻辣湯」チェーンが悲願の銀座出店。日本上陸から6年、客の7割が女性

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中国B級グルメ「麻辣湯」チェーンが悲願の銀座出店。日本上陸から6年、客の7割が女性

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中国で6000店舗以上展開する飲食チェーン「楊国福麻辣燙(ヤングオフマーラータン)」が東京・銀座に出店した。同店は2018年に池袋店をオープンし、2021年頃から日本市場の出店を強化してきた。マーケティング責任者の李さんに、日本での展開と今後の展望について聞いた。

京都や福岡にも進出

楊国福の銀座店は3月9日、高級ブランド店が並ぶGINZA SIXのすぐ近くの路地にオープンした。数日経った平日の午後5時半に訪れたところ、夕食には少し早い時間だが店内はほぼ満席だった。客の中心は中国人だが、日本人だけの女性グループもいる。

麻辣湯はしびれるような辛さの麻辣(マーラー)スープに、自分の好きな肉や野菜、麺を投入して食べる料理で、「1人版の火鍋」というと想像しやすい。近年の「麻辣ブーム」や「ガチ中華ブーム」で、麻辣湯という言葉自体も認知度を高めており、特に若い女性を中心にファンが増えている印象だ。

2021年6月に李さんに取材をした時点では池袋、上野、高田馬場、新大久保と、東京に暮らす中国人が多い地域に集中して出店していたが、3年近くが経った2024年3月現在は神奈川、大阪、京都、福岡にも進出し計10店舗を出店している。神奈川は横浜中華街、大阪では心斎橋と、中国人の来客がある程度見込めそうな地域に展開している一方、福岡・天神店、京都・河原町店は日本人もターゲットにしている。

「日本進出の最初の頃は日本に暮らす中国人が多いエリアをターゲットにし、上野(東京)や高田馬場(同)に出店しました。その次として日本人の若者や中国を含む海外からの観光客が集まる地域に焦点を当てて、渋谷や京都などの大都市に出店しました」と李さんは話す。言葉の通り、高田馬場店は客の60%が中国人だが、渋谷店(同)は60%が日本人だという。そして麻辣湯はやはり女性に歓迎されるようで全体の70%近くが女性客だそうだ。

2018年にオープンした池袋店

マーケティング効果も見込んだ銀座店進出

李さんは3年前の取材時に「銀座進出」の野望を語っていたが、ついに実現した。

楊国福は自分で好きな具材を取り、重さに応じて値段が決まる従量課金制のシステムを採用している。日本では100gあたり400円の価格設定としており、中国現地に比べて数倍高く、客単価は1000~2000円だという。にしても銀座のテナント料を払うのは負担が重いのではないだろうか。

楊国福好きな具材を選ぶことができ、日本の店舗の価格は100グラムあたり400円となっている

李さんは「家賃は高いですが、銀座は日本を代表する都市の一つであり、チェーン展開するうえで銀座に店舗があることはブランド力に大きな影響力を与えると考えています。日本での記念すべき10店舗目ということで銀座を選びました」と話す。2023年11月には中国の白酒のブランド、茅台文化センターが同じく銀座にオープンしている。知名度が高い銀座に店があるというのはブランドの知名度向上に貢献しており、マーケティング効果も見込めるのだろう(無印のパクリと言われたメイソウこと名創優品も、創業時は銀座を本社と主張していた)。

オフィスがたくさんある銀座でランチタイムに麻辣湯を食べられるのは、個人的にはかなり嬉しいが、ビジネスパーソンにも受けるのかは気になるところだ。ちなみに銀座店以降も続々と出店計画があり、3月下旬には下北沢店、4月には新宿店がオープン予定だ。

銀座店オープン時の様子。手前右から2人目が李さん

日本以外でも海外出店が加速中

楊国福はカナダ、オーストラリア、韓国、シンガポールなどの多くの国で展開しているが、最近はヨーロッパでの出店が目立っている。2024年2月に中国版インスタグラムのRedに楊国福麻辣燙欧州のアカウントが開設され、イギリス・ロンドン店、スペイン・バルセロナ店、マドリード店、ドイツ・ベルリン店などの開店情報が投稿されたほか、フランス、ポルトガル、ベルギーなどでの出店予定の情報も記載されている。マレーシアやタイ、アメリカでの出店情報を伝えるアカウントも存在しており、世界中どこでも楊国福が食べられるようになってきている。中国で6000店舗以上展開するファストフードチェーンが世界でどこまで出店数を増やしていくのか、日本以外での今後の展開も注目だ。

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(文・阿生、編集・浦上早苗)

浦上早苗

経済ジャーナリスト/法政大MBA教員/Yahoo公式コメンテーター/中国ニュースは備忘録的に投稿。未婚の母歴14年、42歳で初婚。早大政経→新聞記者12年→中国に博士留学&大学で教師→2016年から日本:近著「新型コロナvs中国14億人」(小学館新書)。Twitter:sanadi37

阿生

東京で中華を食べ歩く26歳会社員。早稲田大学在学中に上海・復旦大学に1年間留学し、現地中華にはまる。現在はIT企業に勤める傍ら都内に新しくオープンした中華を食べ歩いている。Twitter:iam_asheng

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