中国の臓器チップ開発支える、多分野連携によるイノベーション

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中国江蘇省蘇州ハイテク産業開発区(高新区)の太湖科学城機能片区(エリア)にある東南大学蘇州医療器械研究院はこのほど、二通りの規格の臓器チップを公開した。異なるのは一つがUSBメモリーほどの大きさで、もう一つはハードディスクほどという点だけで、いずれも高分子材料でできており、中は多くの「細い道」や「小部屋」を備えた透明なミニチュア迷路のようになっている。このサイズの臓器チップから、数十やさらには百以上のミニ人体臓器を構築することができる。
同研究院の顧忠沢院長は「手のひらサイズの薄い材料で人体の臓器を模倣して、毎年実験で『犠牲』にされる何億もの動物を置き換えることができ、生命科学や製薬、化学、航空宇宙などの分野で科学の発展に役立つ」と紹介した。
 
顧氏によると、マイクロマシニングや3Dプリント、ナノ加工の自己組織化などの技術を駆使して人体環境をシミュレートする「家」を「構築」し、その中に関連する細胞をプログラムに従って入力すると、対応する臓器が「育ち」「生体現象」を備えた臓器チップが得られる。
 
このほど発表された2023年度「中国生命科学十大進展」には、顧氏率いるプロジェクト「人体臓器チップおよびマルチモーダル精密測定法の構築」が入選した。
 
顧氏は、研究チームはバイオメカニクス(生体力学)測定、機能画像解析、高度シミュレーション体外微小環境構築、オンチップセンシング解析などの主要技術及びコア技術の課題を克服し、世界で初めて宇宙での人工血管組織チップ研究に着手したことを含め、国内外で多くの先駆的な成果を収めたと紹介した。
 
現在、蘇州のバイオ医薬産業は爆発的な成長加速期に入っており、新薬の研究開発、ハイエンド医療機器、バイオテクノロジー、新規治療法などの重点産業クラスターが急速に台頭し、3800社以上のバイオ医薬品企業が集積している。23年には生産額が2100億元(1元=約21円)を上回った。
 
東南大学蘇州医療器械研究院の陳早早院長助理(補佐)は「臓器チップは、単一の孤立した科学研究の成果ではなく、幹細胞科学や生体材料工学、ナノ加工技術など多岐にわたる分野の最先端技術が学際的に融合して成り立っている」と指摘。臓器チップは生物医学における進展であるだけでなく、多分野間の連携や融合が生んだイノベーションの結晶でもあると説明した。
 
東南大学は18年4月2日、同大の生物医学工程学院生物電子学(バイオエレクトロニクス)国家重点実験室の趙遠錦教授の研究グループが最新の成果となる色が変わる「心臓チップ」を開発したと明らかにした。
 
中国における臓器チップ産業の発展は、主に企業、大学、病院、研究機関などの革新的リソース間の技術協力と成果の実用化に依拠し、産業クラスターは珠江デルタや長江デルタ、北京などをカバーしている。
 
統計によると、中国の人体臓器チップ市場規模は22年に約500万ドル(1ドル=約157円)となり、世界市場の約5.7%を占めた。23年の市場規模は1300万ドルに達し、世界市場の10.8%になると見込まれている。
 
注目を集める臓器チップ分野において、中国国内で主導的地位にある蘇州はすでに臓器チップの体系化された網羅的なチェーンを構築しており、オルガノイド(Organoid)の生成と培養、機能性細胞外マトリックス(ECM)のスキャフォールド(scaffold、足場)材料、マイクロ臓器の組織学的3Dイメージングと精密測定など、多くのコア技術的障壁を克服した。(新華社蘇州)

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