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中国EV大手の比亜迪(BYD)が5月28日、第5世代のプラグインハイブリッド(PHEV)技術「DM」を発表した。同社は3年ごとに技術アップデートを繰り返しており、第4世代DMが発表されたのは2021年だった。
第5世代DMは、エンジンの熱効率46.06%、100キロメートル当たりの燃料消費量をわずか2.9リットルに抑え、エンジンを併用した場合の航続距離は2100キロメートルに達する。このDMを搭載した新型車「秦L」と「SEAL(海豹)06」のリリースと量産も同時に公表され、2車種とも9万9800~13万9800元(約220~300万円)という低価格で販売される。どちらも燃料消費量は内燃エンジン車の3分の1となった一方で、航続距離は3倍に伸びた。
BYDのリリースとまさに同じ日、ハイブリッド(HEV)技術で大ベテランのトヨタ自動車は、スバル、マツダと合同でワークショップを開催、EV時代を見据えて開発中の最新エンジンをそれぞれ披露した。トヨタが公開した新型エンジンは、HEVやPHEVへの搭載を想定した小型の直列4気筒エンジンで、排気量1.5リットルとそのターボタイプ、2.0リットルターボの3種類をそろえた。従来品に比べ10~20%コンパクトになり、熱効率は30%向上したという。
一方は電力メイン、他方はエンジン重視という全く異なる路線をとりながら、同じ日に新技術を発表したBYDとトヨタ。HEVをめぐる2社の戦いはいよいよ激しさを増している。
目下、ピュアEVは充電効率がネックとなり、販売台数の伸びが目に見えて鈍化している。2023年に中国で販売されたPHEVは前年より85%増加し、EVの24.6%を大幅に上回った。今年4月の新エネルギー車の販売台数(卸売台数)の内訳を見ると、EVが59%、PHEVが32%、レンジエクステンダーEVが9%となっている。23年4月のEV 72%、PHEV 21%、レンジエクステンダー7%と比較するとPHEVの伸びは目覚ましい。今後、新エネルギー車の普及をけん引する主力軍はPHEVやレンジエクステンダーEVになるだろう。
BYDは今年に入って「ガソリン車より安いEV」をキャッチフレーズに値下げを行い、販売台数でリードを奪い始めた。なかでも「秦Plus DM-i」と「秦L DM-i」は、トヨタ・カローラやホンダ・シビック、日産シルフィなど10万元(約220万円)クラスのコンパクトカーに大きな打撃を与えた。今年4月の自動車販売台数で上位10車種に入ったシルフィ、シビック、フォルクスワーゲンのラヴィーダとジェッタ、これらの販売台数を合計すると7万1000台。それに対して、BYDは「秦Plus」と「駆逐艦(Chaser)05」の2車種だけで実に6万6000台を売り上げた。
今年4月時点で、中国の自動車市場におけるPHEVの浸透率は17.4%に達しており、さらに世界のPHEV市場では中国メーカーが70%以上のシェアを獲得している。BYDの王伝福会長は発表会で、現在世界最先端のPHEV技術は中国にあるとし、世界中の自動車メーカーが中国のPHEV技術に注目し、続々と後に続いていると語った。グローバル市場で日本メーカーが築き上げたハイブリッド神話は、すでに輝きを失いつつある。
(翻訳・編集:畠中裕子)
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