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車載電池世界最大手の寧徳時代新能源科技(CATL)の曽毓群(ロビン・ゼン)会長は、9月1日に四川省宜賓市で開かれた「第3回世界動力電池大会」に登壇し、CATLが手がける全固体電池開発の最新の進捗状況を紹介した。
CATLはすでに7〜8年かけて全固体電池の研究に取り組んできた。曽会長によると、固体電池の技術が成熟して大量生産可能となる段階を「9」として9段階で示すなら、現時点の業界最高水準は「4」程度で、一部でプロトタイプの実験・検証が進められている段階だという。
曽氏は「当社の研究も4の段階まで進んでいる。世界を大きくリードしており、英語で言えば『Second to none』(右に出るものはいない)だろう」と述べた。
目下、電池業界では競争が激化しており、電池セルや材料のあらゆる面にコスト削減がつきまとう。こうしたなか、競争の焦点は品質の高度化に移っている。駆動用電池で最も重要なのは安全性で、航続距離や急速充電などすべての性能は安全であることが前提となる。
しかし現在のところ、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)など新エネルギー車(NEV)の火災事故は依然としてなくなっていない。中国中央テレビ(CCTV)は2024年6月、23年のNEVの火災事故発生率が1万台に約0.96台の割合に上ったと報道した。
NEVの普及率をさらに高める上で最も重要なポイントは安全性の確保であり、その鍵を握るのが駆動用電池だ。曽会長は現在市場に出回る大部分の駆動用電池の安全性能は不十分だと指摘。「多くの電池セルは不良率が100万分の1だとうたっているが、実際は1000分の1だ。中国全土のNEV2500万台に搭載されている電池セルは数十億個に上る。この数字に不良率を掛ければ、そのリスクの高さが分かるはずだ」と述べた。その上で、CATLはすでに電池セル単体の不良率を10億分の1まで引き下げることに成功していると説明した。
安全性の次に大切なのは信頼性で、電池が正常に機能するかを確かめる重要な指標となる。曽会長によると、市場に出回る多くの電池では、表示されている信頼性と実際の信頼性が大きく異なるという。CATLは、設計から生産、アフターサービスまで一貫して電池の信頼性を管理するシステムを確立すると同時に、業界でも先進的な信頼性評価システムを開発し、この問題に対処している。
駆動用電池にとって3番目に重要になるのが性能の高さだ。商用車や電動船舶、電動航空機など新たな活用シーンも広がりつつあり、より高い電池性能が求められている。安全性や信頼性だけでなく、エネルギー密度や充電速度、サイクル寿命、耐熱性などで大きなブレークスルーが必要となる。
曽会長は、これら駆動用電池の新たな活用シーンについても紹介した。2024年8月末時点で、CATLの駆動用電池を搭載した電動船舶約700隻が、中国のさまざまな水域を航行している。また、23年には4トンクラスの民用電動航空機の試験飛行に成功。24年中には、同社の駆動用電池を搭載したeVTOL(電動垂直離着陸機)の初飛行も予定されている。
曽会長は最後に、電池は多角的な経済価値と社会的価値を生み出すことができるとし、優れた電池は投資商品になりうると強調した。
(翻訳・田村広子)
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