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AIを活用した外観検査装置を提供する中国企業「深圳箇元科技(UnitX)」がこのほど、UP Partnersの主導するシリーズBで4600万ドル(約70億円)を調達した。資金は市場開拓や技術開発に充てられる。
2018年に設立されたUnitXは、製造業に従事する企業が品質検査にかかるコストを削減し、品質や良品率を改善できるよう、深層学習を活用した外観検査技術の開発に取り組んでいる。
外観検査は製造業に欠かせないプロセスであり、不良品を排除して製品の品質を保つ「最後のとりで」だ。製造業の精密化や人件費の高騰に伴い、手作業のみに頼った品質検査では対応しきれなくなり、多くの企業がマシンビジョンを利用した欠陥検出システムを導入するようになっている。
箇元科技の隆徳鋒社長は「自動車部品の検査にAIを使えば、欠陥見逃し率は検査員の手作業に比べて10分の1になる」と語る。このため、中国トップクラスの製造工場では効率化と利益増を図るため、生産プロセスにAIを導入できないかと模索を続けており、AI外観検査の需要が日増しに高まっている。
AI外観検査は効率的に不良品を検出し、製造コストを削減できるだけでなく、人為的な見落としを減らすことで、プロセスの効率化や緻密な品質管理が可能になる。
目下、製造業で使用される外観検査システムは、ランダムな形状の欠陥を認識しづらく、複雑な形状に光を当て、画像化することが難しいなどの課題を抱えている。
これらの課題を解決すべく、箇元科技は深層学習モジュール「CorteX」と光学モジュール「OptiX」を開発し、欠陥を検出するAI検査装置から自動検査システムまでトータルにカバーするソリューションを打ち出した。
深層学習モジュール「CorteX」は、欠陥分類レベルのしきい値管理ができるため、誤判定率を大幅に下げられる。わずか5つの欠陥サンプルでシステムをトレーニングすることが可能で、複雑な形状をした欠陥も高い精度で検出できる。
光学モジュール「OptiX」は、どんなタイプの欠陥にも対応できる多彩な照明モードを備えており、環境の変化や新たな欠陥にもすぐさま適応できる。また秒速0.5メートルで流れるラインにも対応できるため、検査スピードが大幅に向上する。
この2つの主力製品を組み合わせた検査装置1台で検査員4人分の作業を肩代わりでき、欠陥見逃し率を10分の1に減らせるという。
これまでに企業100社以上が同社の製品を導入しており、リチウムイオン電池や家電、EV、自動車部品などの世界的なトップメーカーのサプライチェーンで活用されている。
中国経済の発展の重心が「量」から「質」へと移行するのに伴い、推進力となるような革新的技術が切実に必要とされている。その中でも、AI技術を活用したスマート製造業が大きなトレンドとなっている。隆社長は「工場にとって優秀な目となり頭脳となること」を自社の目標に掲げ、今後もAI技術を駆使して製造業の活性化を後押ししていく考えを示した。
*1ドル=約155円で計算しています。
(翻訳・畠中裕子)
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