中国で花卉産業の発展加速 輸入生花の新品種が人気

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クリスマスや元日、春節(旧正月)などの行事やイベントが多い年末年始が近づくにつれ、中国の花卉(かき)市場は今年も消費のピークシーズンを迎えている。電子商取引(EC)サイトから実店舗の花屋、スーパーマーケットまで、好調な売上データは市場の活力を反映している。EC大手アリババグループ傘下の生鮮食品スーパー「盒馬鮮生(フーマーフレッシュ)」のデータによると、発売開始から3年になる八重咲きユリは上海市や北京市で特に人気が高く、販売数は前年比40%以上増加し、年間で1千万本を超えた。
 
一重のユリに比べてボリューム感のある八重咲きユリは、花粉がないため花びらが汚れにくく、花粉アレルギーの人にも優しい。切り花の状態でも花期が長いのも特徴で、専用の延命剤を使うと適切な温度と環境下で3~4週間は咲き続ける。現在、オランダから入ってきた八重咲きユリの品種は20種類以上あり、毎年新品種2、3種類が追加される。
 
八重咲きユリの人気が続くのは、国内外の花卉産業の協力の緊密化によるところが大きい。上海市で11月上旬に開かれた第7回中国国際輸入博覧会では、八重咲きの新品種「Roselily Bryanna」が中国に初上陸した。同品種はオランダのユリ生産企業デ・ローフ(De Looff)が育種し、中国上海花卉園芸集団(上花集団)傘下の上海種業(集団)が中国に持ち込んだ。中国名の「上花和合」には、和やかさと美しさ、協力ウィンウィンといった意味が込められている。
 
上海市は中国の生花消費の中心地であり、トレンドの発信地でもある。多くのオランダの八重咲きユリ育種業者や貿易業者が輸入博の期間中に、市内の超高層ビル、上海中心大廈(上海タワー)や盒馬の「黒標店」(プレミア店舗)などで八重咲きユリの新品種のプロモーションを行った。上海タワー118階の展望台では新品種5種類の切り花が展示され、多くの観光客が写真を撮っていた。育種業者のトニー・デ・ローフさんは「何年もかけて育てた最高品質の八重咲きユリを上海の最も高い場所で披露でき、感無量だ」と興奮気味に語った。
 
上花集団によると、同社は盒馬から毎年八重咲きユリの切り花を30~40万本受注しており、大量注文が新しい品種や農業技術の普及を大きく後押ししているという。同社の楊娟副総裁は「オランダで育てられた『上花和合』の初回ロットの球根は今年12月に収穫され、来年1月には順次中国に到着する予定。約3カ月の栽培期間を経て、春には市場に出回る見込みだ」と紹介した。
 
花卉業界ではここ数年、輸入博の波及効果から革新的な製品が次々と市場に登場し、八重咲きユリはその一例に過ぎない。2021年から輸入博に参加してきた上花集団はブースの面積を年々拡大し、展示する新品種も増やしている。ペルーから輸入したアマリリスのワックスがけ球根は花期が長く育てやすいという特徴があるだけでなく、アマリリスの中国語名「朱頂紅」が「注定紅」(商売が繁盛する)という音に似ていることから、初出展時から大きな注目を集め、今では年間販売数が100万個に達している。
 
同社は今年5月、業者向けのイベント「ユリのオープンデー」を主催、楊氏が多くの国内外の業者を率いて雲南省紅河ハニ族イ族自治州弥勒市にある生花の栽培拠点を訪れた。敷地面積約300ムー(20ヘクタール)の拠点では年間1千万本の生花が生産されている。楊氏は「オランダの業者から、中国の生花栽培の大規模化や工場化、自動化のレベルは想像以上で、世界のトップレベルに迫るか、既に達していると評価してもらった」と語った。
 
中国の今年1~9月の花卉貿易額は20億元(1元=約21円)を突破した。ここ数年、中国産のバラやオランダカイウ、カーネーションなどの切り花が品質とコストパフォーマンスの高さから日本や韓国などの海外市場で好評を博している。
 
消費ニーズが高まるにつれ、花卉産業はさらに発展を続けている。中国花卉協会の統計では、現在、中国の花卉栽培面積は150万ヘクタール、花卉産業就業者は500万人を超えている。企業情報サイト「企査査」によると、国内の花卉栽培関連企業は20万9500社に上る。(新華社上海)

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