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電子制御システムの半物理シミュレーションを手がける中国企業「蔚赫信息(Vehinfo)」がこのほど、シリーズAで1億元(約20億円)近くを調達した。資金は高度人材の採用に充て、シミュレーションテストの手法であるハードウエア・イン・ザ・ループ(HIL)の開発を進めると同時に、事業のグローバル展開を加速する方針だという。
自動車の電動化とスマート化が急速に進み、航空宇宙や軌道交通などの先端製造業でもデジタル化が推し進められている。電子制御システムが複雑化し安全性への要求が高まるのに伴い、シミュレーションツールチェーンの需要も急増している。2025年には、中国のHIL市場は100億元(約2000億円)規模を超える見込みだ。
中国政府は先端製造業の国内完結戦略を強力に推進しており、国産ツールチェーンの重要性が日増しに大きくなっている。中でも自動車や航空宇宙、産業オートメーションといった主要分野では、高い精度と信頼性を兼ね備えたシミュレーションテストやソリューションが切実に求められている。
蔚赫信息は2016年に設立され、高効率・高精度なシミュレーションテストのソリューションを開発し、自動車企業や先端製造業向けに提供している。主力のHILテスト分野では、中国の業界をリードする企業に成長した。
2022年12月には独ボッシュ傘下のETAS(イータス)が開発したHILテストシステム「LABCAR」の技術ライセンスを取得し、システムインテグレーション(SI)の代行サービスから自社開発・製造への戦略転換を果たす。23年3月には最初の資金調達を完了し、その後1年足らずで初の自社開発製品を出荷。人工知能(AI)技術を半物理シミュレーションシステムに応用し、シミュレーションテストの効率を飛躍的に高めることに成功した。
同社は2024年8月、中国国務院の国有資産監督管理委員会(国資委)が主導する「国有中央自動車企業のデジタル化に向けた共同イノベーションプラットフォーム」の第一陣メンバーに選ばれた。同月開催された「自動車開発ツール:AI+半物理シミュレーション技術セミナー」では、シナリオ化・モジュール化・デジタル化・エコシステム化を打ち出し、自動車業界のためにシミュレーションツールチェーンの効果を積極的に発揮していく方針を示した。
蔚赫信息はすでに、複数の完成車メーカーや一次サプライヤーを顧客に抱え、製品の活用範囲を自動車業界から教育、蓄電、船舶、航空宇宙、工作機械などへと広げつつある。2024年9月にはグローバル化の最初の一歩として、欧州市場への進出を果たした。
*1元=約21円で計算しています。
(翻訳・田村広子)
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