中国発「ソフトロボット」技術、DJIのドローンやEV自動充電ロボットに導入

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ソフトロボット技術を手がける中国企業「万勳科技(Wisson Technology)」がこのほど、シリーズAで累計2億元(約40億円)近くを調達した。資金は中核技術の研究開発や、しなやかな動きをするソフトロボットの普及に充てられるという。

万勳科技は2019年に設立された。独自に開発した汎用性のあるソフトロボット技術「Pliabot」は、柔らかい素材を使ったロボットで筋肉と神経細胞を持つ人間のような動きを再現する。従来のロボット技術よりも適応性や比強度、耐環境性、安全性、コストの面で優れたこの技術をベースに、安全・器用・軽量・丈夫で耐荷重の大きいロボットの製品とソリューションを提供している。

ソフトロボット技術を採用した製品(画像は企業提供)

人工知能(AI)を搭載したロボットは、さまざまな業界やシーンでの活用が待ち望まれているが、適応性とコストが大きな課題となっている。一般的な工業生産などの決められた作業にとどまらず、日常の複雑なシーンでロボットを活用するためには、刻々と変化する環境やニーズに対応することに加え、大規模な導入が可能なコストパフォーマンスが求められる。

そのなかで、ソフトロボット技術は、適応性を向上させてコストを抑えるという2つの大きな課題を解決する次世代ロボットの基盤技術だと見なされている。柔らかい素材を使い、気体や液体を駆動源とするソフトロボット技術を採用したロボットは、コンパクトで柔軟性や安全性、可変性に優れているため、人間との接触や環境への順応が求められる複雑で変化に富んだシーンに向いており、特にサービスロボットとしての活用が理想的な選択肢になるという。世界ではすでに数社が、工業や医療の分野を中心にソフトロボット技術の製品化を実現した。

万勳科技は「Pliabot」を普及させるために技術のプラットフォーム化を進め、さまざまな業界やシーンでの幅広い活用を可能にした。また、バイオニックな筋肉と神経細胞をロボットに持たせるこの技術は、ロボット本体とAIの全面的な革新につながるという。これまでに数百件の知的財産権を出願し、うち200件以上が認可されている。

「Pliabot」はバイオニックな筋肉に張り巡らされた神経細胞が、小脳と大脳の役割を担うAIとクラウドAIにつながることで、複雑なフォースセンサーやマシンビジョンを使わず、ロボットの本体にセルフセンシングと正確な制御を実現できる。

エンボディドAIのアルゴリズムとデータをもとに、ロボットのバイオニックな筋肉やジョイント、アーム、システムを統合することで、各種のツールやシャーシ、昇降機、生産ライン、ウェアラブルデバイス、ドローン、人型ロボットなどのプラットフォームに組み込むことができる。また、高所作業や自動運転、工業生産、商業サービス、家事サービスなどさまざまな業界やシーンで実用的かつ大規模なロボットの活用を可能にする。

例えば、ドローン世界最大手・DJI(大疆創新)のドローンに、万勳科技が開発したアームとジョイントを組み合わせたソフトロボット「猎戸座(Orion)」は「正確な空中作業」を実現した。製品は空中作業、空中投下、噴霧、接触検査用の4種類が展開され、高所での清掃や電力システムの維持管理といった作業の質と効率を向上させると同時にコストも削減する。

また、独自に開発した電気自動車(EV)用自動充電ロボット「麒麟座(Monos)」は、性能とコストパフォーマンスに優れるため大規模な活用が可能で、収益化を進めているところだ。

現在、「Pliabot」を採用したソフトロボットは、高所清掃やEV充電、電力システムの維持管理、緊急救助、環境保護などさまざまな分野の複雑な作業をこなし、欧米や中東、アジア太平洋地域の100を超える国と地域で活用されている。また、米ラスベガスで開かれたテクノロジーイベント「CES 2025」にも出展している。

*1元=約21円で計算しています。

(翻訳・大谷晶洋)

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