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アパレル業界向けのAIソリューションを開発する「深服人工智能科技」(以下、深服科技)がこのほど、上海厚毅資本が主導するプレシリーズAで数千万元(数億円)を調達した。資金はAIモデルの開発、技術者の採用、市場開拓などに充てられる予定だ。
深服科技は2023年4月設立、アパレル業界向けにAI技術を活用したソリューションを提供するテック企業だ。特にデザインからパターンメイキング(型紙作成)までの工程をAIで最適化することで、開発プロセスの効率化とコスト削減を実現することに注力している。
創業者の呉偲偲氏はアパレル業界で10年近い経験があり、業界のサプライチェーンに豊富なリソースを持つ連続起業家だ。共同創業メンバーはテンセント)やグーグルといった大手IT企業の出身者が多く、AI技術の専門知識を活かしたアパレル業界向けの革新に取り組んでいる。
生成AIで変わるアパレル業界
生成AIの進化が各業界に変革をもたらす中、アパレル業界も例外ではない。従来、デザイナーとパタンナー(パターン作成者)は独立した役割を担い、「デザイナーは芸術性や創造性を重視」「パタンナーはデザインの再現性と作業効率を重視」といった違いから、両者の間で意見の相違が生じやすかった。そこで、深服科技はAIによる作業の最適化と効率向上に取り組み、デザインとパターンメイキングの一体化を推進している。
同社はアパレル業界に特化したAIプラットフォーム「匠衣深造」などを開発した。匠衣深造を搭載したパターンメイキングアプリ「画衣衣」もリリースし、アパレル企業やEC事業者にAIによるパターンメイキングや生地の選定、サンプルオーダーなどのサービスを提供する。デザイナーがデザインを完成させると自動的にCADでパターンを作成し、作業効率を向上させる。
呉氏によると、「デザイナーは本来パターンメイキングできないが、画衣衣を使えばデザイナーがパターンを作成し、そこにパタンナーが手を加えることで、デザインからパターン完成までの時間を大幅に短縮することができる。従来は1日に2、3件しかパターンを作れなかったが、今では20件から30件を処理することができ、効率は10倍にもなった」という。
ただ、こうした機能の実現は容易ではない。呉氏は、AIモデルに頼るだけではデザインからパターンメイキングまでのプロセスを完成させることはできないとし、「ひとつのデザイン画からパターンを起こす作業は規格化されておらず、パタンナーごとにさまざまなパターンが出来上がる。画衣衣は単なる画像生成AIではなく、専門性の高いパターンメイキングのツールだ。開発チームがアパレルのパターンメイキングに関して質の高いデータで長期間訓練を積み重ねたからこそ、AIにパターン作成のスキルを習得させることができた。これこそが、他社と差別化できる最大の強みだ。」と述べた。
画衣衣は2025年1月に試験運用が開始された。すでに複数の業界トップメーカーとも提携し、アパレル業界のデザイン・パターンメイキング業務の効率向上を後押ししている。
今後、深服科技はアパレル業界におけるデザイン作業のデジタル化を加速させ、次世代のアパレル生産に不可欠な基盤技術となることを目指す。また、次に打つ手として、一般消費者向けビジネスの模索を進め、国内で影響力のあるSNSやアパレルブランドと連携し、さらなる活用シーンを拡大する方針だ。
*1元=約21円で計算しています。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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