米国のクラファンで7億円調達した「空飛ぶAI自撮りカメラ」、何がすごいのか

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

スタートアップ注目記事

米国のクラファンで7億円調達した「空飛ぶAI自撮りカメラ」、何がすごいのか

36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

サイクリングやスキー、ウォーキングなどアウトドアスポーツが盛んになるにつれ、スポーツを楽しむ様子を自撮りし、誰かとシェアしたいという人が増えている。従来のスマートフォンやデジタルカメラ、ドローンではどうしてもユーザーの手が塞がってしまうため、AI追尾機能を売りにした自撮り用のカメラ付きAIドローンが登場し、これまでになかった撮影体験を消費者に届けている。

中でも、中国のスタートアップ「零零科技(Zero Zero Robotics)」が展開するブランド「HOVER(哈浮)」は、優れたAI機能とコスパの良さで世界の市場で大成功を収めている。

零零科技は2016年、初めてのカメラ付きAIドローン「Hover Camera Passport(小黒侠)」をリリースした。自動追尾機能と携帯性の高さを特長とし、17年には世界30カ国以上で400店以上のアップル正規販売店の店頭に並んだ。その後22年にHOVERブランドを立ち上げ、「HOVERAir X1」をリリースした。

HOVERAir X1は手のひらから離陸し、追尾撮影が可能なだけでなく、10通り以上のカメラワークに対応する。折りたたみ可能で、重さわずか125グラムとiPhone16よりも軽量で持ち運びに便利だ。これまでに世界で数十万台を出荷している。

技術革新でグレードアップした「X1 Pro」

数年を経て2024年10月、利用シーンを広げて撮影性能を全面的にアップグレードした「X1 Pro」と「X1 Pro Max」をリリースした。両製品が米国のクラウドファンディングサイトIndiegogoにアップされると、わずか2時間ほどで100万ドル(約1億5000万円)が集まり、日本円換算で総額7億円以上を調達した。

X1 Proシリーズのアップグレードのポイントは次の通りだ:

まず、スマート追尾機能が向上した。X1 ProはAIアルゴリズムを応用し、最高時速42キロで高速追尾する。目標物が一気に時速60キロにまで加速しても、正確にキャッチアップできる。

また、撮影モードがより多彩になった。ホバリング、ズームアウト、旋回しながらのオービット撮影といった定番のモードのほか、さまざまな撮影のニーズに対応できるよう、超近接追尾撮影、ジェスチャー操作などの機能が新たに増えた。

そして安定性が向上した。2軸雲台と電子画像安定化機能 (EIS) 、水平補正を採用し、屋外での撮影時には風力5(風速8.0~10.7km/h)の風に耐えることができる。

解像度も高くなった。X1 Pro Maxは8K録画に対応し、視野約107度の広角撮影が可能。カスタムレンズセットを搭載し、小型ながら高い解像度を持つ。

X1 Proはサイクリングやスキーなどアウトドアスポーツ向けの高コスパモデルで、海外販売価格は499ドル(約7万4000円)。X1 Pro Maxはプロのコンテンツクリエイター向け、販売価格は679ドル(約10万円)で、1000ドル(約15万円)以下の8K撮影機材として貴重な選択肢になる。

HOVER「X1 Pro」シリーズ

世界中のあらゆる世代の人に

HOVERのAIドローンはプロレベルの愛好家だけでなく、幅広い年齢層をターゲットにしている。若者から中高年まで、誰もがHOVERでさまざまなアウトドアシーンを手軽に記録することができる。ユーザーがシェアし交流する場として、HOVERアプリのコミュニティやSNSのグループもある。

また、X1 Pro Maxは4K対応、フレームレート30fpsのハイビジョン縦型映像の撮影が可能で、SNSなどの動画規格に合わせられているため、ショート動画のクリエイターにとっても使い勝手がいい。

HOVERは世界で販売されており、中国国内よりも海外市場での売上高のほうが多い。米アマゾンや自社サイト、中国ではアリババのECプラットフォーム「淘宝網(タオバオ)」などで販売され、一部の都市に体験型の実店舗も設けられている。

異なる市場のニーズに合わせてカスタマイズした製品もリリースした。例えば日本では、ドローンの重量が100g以上の場合には機体登録することが法律で定められている。そこで、登録が不要になるよう重さを99グラムに抑えた「X1 Smart」を発売した。こうした策を講じたことで、HOVERは日本のクラウドファンディングで2億1200万円を集めた。

自撮り用ドローンはドローン市場の中でもニッチな製品ではあるが、競争は次第に激化している。ドローン世界最大手のDJI(大疆創新)は2024年9月に最新の小型機「Neo」をリリースした。HOVERと同じように手のひらから離陸しAI追尾機能を備えるが、さらに安い価格で市場シェアを奪おうとしている。Neoはリリースから2カ月を待たずして、オンラインだけで1万台以上を販売した。

HOVERは業界最大手に対抗するため、技術の最適化を繰り返して、より複雑なシーンに合わせカスタム開発するという道を選んだ。例えばX1 Proシリーズはマルチセンサーフュージョンを採用し、水上や雪上、断崖のような厳しい環境でも飛行の安定性が向上した。

*1ドル=約149円で計算しています。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録