OTA手数料は欧米競合の3分の1も、純利益7割増⋯中国トリップドットコム2024年決算

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中国旅行予約サイト(OTA)最大手の携程集団(トリップドットコムグループ)は2月25日、2024年12月期通期決算を発表した。

旅行業界全体の回復の追い風を受け、売上高は前の期比19.5%増の533億元(約1兆円)、純利益は72.1%増の171億元(約3400億円)となった 。同時に発表した10~12月期の売上高は前年同期比23.4%増の127億元(約2500億円)、純利益は66.3%増の22億元(約440億円)だった。

海外事業は特に好調で、旅行予約サイトの国際版は売上高の伸びが年間を通じて約70%を維持し、総売上高に占める割合は1~3月期の10%から10~12月期には14%へと上昇した。 国際版の急成長は、トリップドットコムの新たな成長の原動力になると予想される。同社の経営陣は決算発表会で、当面は海外事業の拡大を優先する方針を明らかにした。

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世界トップクラスのGMV、圧倒的に低い手数料率

トリップドットコムはグローバル市場でシェアを拡大しているが、海外の旅行予約サイト大手と比べ、収益率の指標となる手数料率が極めて低いという特徴がある。各社のおおよその手数料率は、売上高を流通取引総額(GMV)で割れば算出できる。

最新の決算のデータによると、オランダのブッキングドットコムの2024年の売上高は237億3900万ドル(約3兆5000億円)、GMVは1655億8000万ドル(約25兆円)で、手数料率は14.3%。米エクスペディアは売上高136億9100万ドル(約2兆円)、GMV1109億2100万ドル(約16兆円)で、手数料率は12.3%。米エアビーアンドビーは売上高111億200万ドル(約1兆6000億円)、818億ドル(約12兆円)で、手数料率は13.6%となる。

一方、トリップドットコムの2024年の売上高は533億元(約1兆円)と上記3社に比べると見劣りするが、GMVはブッキングドットコムと同等の1兆2000億元(約24兆円)だった。手数料率は約4.4%と上記3社の3分の1ほどとなる。

トリップドットコムの手数料率は低いが、収益性に影響はなさそうだ。深圳大学観光開発研究センターの劉傑武研究員によると、中国の消費者、特にネットユーザーが価格に敏感なため、中国の旅行予約サイトの手数料率はネットサービス業界全体と同様に低い水準になっているという。しかし一方で、中国国内のユーザー基盤は大きいため、GMVも大きくなるからだ。しかも、中国の人件費は低く、巨大な国内市場のスケールメリットもあり、同社の利益率は維持されると見込まれる。

人工知能(AI)技術の積極的な活用も、業務効率の向上に貢献している。 現在、トリップドットコムのQ&Aサービスの約80%はAIが解決し、アフターサービスの自動化率は70%を超えている。 また、AIを活用した「ルート計画機能」は、旅行中のルートとプランを自動生成し、ユーザーが旅行計画を組み立てる時間を平均40%短縮できる。社内テストではユーザーの旅行計画の決定効率が58%向上し、関連事業のコンバージョン率が12%増加したという。

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トリップドットコムの梁建章会長は今回の決算説明会で、今後はAIによる革新を成長戦略の重点に据えると明らかにした。

*1元=約20円、1ドル=約148円で計算しています。

(36Kr Japan編集部)

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