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今年は投資家にとって厳しい一年となっている。人民元市場ではあらゆるベンチャーキャピタル(VC)が出資者を募っているものの、実際の調達状況は思わしくない。
世界各国を飛び回る投資家のフライト記録をたどりながら、彼らがどこでどのような投資活動を行い、どのような将来のビジョンを描いているかをまとめてみた。
企業・金融データサービスを手掛ける「企名片(Qimingpian)」の統計によると、10月中旬の時点で中国の一次市場(プライマリーマーケット)における投資件数は合計5222件となっている。昨年は1万2804件に上り、一昨年は1万4000件を超えたことを考えるとかなりの減少だ。またVCが活発な上位15都市における昨年と今年の同時期の投資件数を比較すると(2019年10月12日時点、プレIPO未満の企業に限る)、今年の投資件数は昨年比で64.05%減少しているほか、ツートップの北京と上海の例を挙げると、昨年は北京で1775件、上海で1077件だったのに対し、今年は北京で666件、上海で414件と大幅に落ち込んでいる。
出資者の募集について言えば、今年上半期にはより多くの資金がより少数の上位企業に集中する現象がみられ、中小ファンドの出資者募集は昨年にも増して困難となった。
今回の取材で、複数の投資家が目的地としていた「VC新一級都市」が明らかになった。蘇州の資金調達が活発で、医療・ヘルスケア分野の投資件数は広州、深圳、杭州とほぼ同水準だ。また南京の企業サービス関連企業の投資件数はすでに広州に追いついているほか、成都では企業サービス、医療、消費生活、AIなどにわたる全面的な投資活動が実施されている。中部の重要都市である武漢では、Eコマース関連の投資件数が特に高い。
国内外市場の投資熱は冷めつつある。とはいえ、インド、シンガポール、イスラエルおよびインドネシアといった各国の投資件数の減少率は、中国の国内都市よりはるかに低い。特にイスラエル、インドネシアおよびアフリカの投資熱はむしろ高まっており、今回取材した複数の投資家が海外出張の目的地としていたことからも裏付けられる。
以下に各投資家のコメントを一部抜粋する。
■AA投資(Angel Around)創業者兼パートナー 王浩澤氏
2019年のフライト距離:8万キロ
今年最大のミッションは、我々の第3号ファンドの出資者を募ることだった。LP(リミテッドパートナー)がいる場所であればどこへでも足を運んだ。
当社は主に企業サービス分野への投資を行っており、これまで上海、南京、アモイにはよく出張した。今年はさらに寧波、成都、重慶に向かうことも増えたが、どの都市も人口が多く豊かで、マザーファンドやファミリーファンドに加え、多くの老舗企業が存在する。企業家の家族は潤沢な資金を抱えているものの、地元意識が強い。彼らは安易に他地域での出資を行わないため、北京や上海だけに目を向けていると、彼らを知る機会は全くと言っていいほどない。
■黒桃資本(Spade Capital)創業者兼パートナー 潘溶融氏
2019年のフライト距離:8万キロ
我々は消費分野に注目を寄せており、上海、深圳、広州、杭州での事業視察を続けてきた。上海は一貫して新型消費ブランドの集積地となっているほか、広州や深圳には製造業のサプライチェーンの基礎があり、米メーカーP&G系の起業家も集まっている。また杭州にはEC関連企業が複数あり、これらに関連した起業チームも多い。現在、中国のニューエコノミー環境下のユニコーンの50%が北京に、25%が上海に集中しており、残りは杭州、広州および深圳に散在している。とはいえ、ここ数年は武漢や長沙といった新一級都市に出掛けることが増えた。この二都市は人口が多く活気にあふれているため、将来的に大型消費ブランドやニューリテール企業が誕生するチャンスがあるだろう。
■ATM Capital 創業者兼パートナー 屈田氏
2019年のフライト距離:18万キロ
昨年に東南アジア専門ファンドを創設したため、今年は約半分の時間をインドネシアのジャカルタで過ごした。
東南アジアの投資市場は猛烈なスピードで成長しており、現在すでに5社のユニコーンが誕生している。とはいえ、バブル経済の様相が強まり続けているため、今年は投資先企業の実力に対する要求も厳しくなった。東南アジア市場は中国より小さい上に、各国の規模となればさらに小さい。最大であるインドネシアの人口でさえ中国の5分の1だ。1人当たりのGDPも中国の半分に満たない。このため、インドネシアで投資するならば他社に先んじて最初に投資することが必須であり、二番手、三番手となってはもう遅いというのが私の結論だ。
(翻訳・神部明果)
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