36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。
原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録
大型無人輸送機を手がける中国企業「微至航空科技(深圳)」がこのほど、プレシリーズAで1億元(約20億円)近くを調達した。梁渓科創産業基金と招商局創新投資管理が出資を主導し、既存株主の金沙江聯合資本(GSR United Capital)が追加出資した。資金は、研究開発本部や最終組立工場、生産基地の強化、プロトタイプ機の各種試験、人員拡充に充てられる。
微至航空は2020年10月に設立され、信頼性、実用性、経済性を兼ね備えた大型無人輸送機の開発・製造に注力している。初代製品の「Macro雲熊」は、地域航空の貨物輸送市場向けに開発された費用対効果の高い無人輸送機で、手頃さが中国の人気コンパクトカー「五菱宏光」の低空経済分野版という位置付けだ。
Macro雲熊は、設計から試作、飛行試験までを自社で完結させた中国初の大型無人輸送機で、2023年4月に1回目の飛行試験を終え、24年8月には配電システムの高度化と機体構造の最適化が完了。地上テストと空中テストを順調に通過した。
自社開発した飛行制御システムと全てのシステムに持たせた二重冗長性が強みで、燃料動力システムを用いて飛行する。最大離陸重量は1.5トン、機内容積は5立方メートル、国家軍用規格「GJB1918A-2015」の荷役台(パレット)2枚を収容できる。標準積載量は500キログラム、満載時の航続距離は500キロメートル、高性能モデルの実用上昇限度は7000メートルとなる。飛行制御システムのテストとプロトタイプ機の生産はすでに完了し、現在は量産型機のテストと耐空性審査の手続きが進んでいる。
貨物輸送市場にコスパ重視の選択肢を
微至航空が狙いを定める地域航空の貨物輸送市場は、今のところ初期の模索段階にとどまっているが、創業者の徐淳保氏は、中・大型無人輸送機市場は将来的に1〜2万機規模に拡大する可能性があると見る。
徐氏によると、市場には一部の大手企業のほか、研究機関や地方政府系の企業も参入しているが、微至航空は製品設計や技術改良、コストコントロールなどで優位性を発揮している。同社は自動車や無人機、一般航空機のサプライチェーンと連携することで、コストの大幅ダウンに成功。Macro雲熊のコストを競合製品の5分の1、輸送トンキロあたりの費用を3.3元(約66円)に抑えつつ、信頼性と実用性を確保した。Macro雲熊は400メートル未満の滑走路でも離着陸できるため、全ての一般空港に対応する。さらに、高速道路・一級道路・二級道路のほか、草地や砂利など舗装していない路面での緊急離着陸も可能だ。
微至航空はすでにMacro雲熊の意向契約を大量に取り付け、今後2〜3年分の生産能力を前倒しで確保している。顧客は2つのタイプに分けられる。1つ目はコストに敏感な宅配会社で、積載能力が高く耐久性に優れた低価格製品を求めている。2つ目は改造を想定している顧客で、Macro雲熊の内装や積載量、機能をカスタマイズし、緊急救援や森林消防、農作物保護などの用途で使用するのだという。
国内顧客への納機が十分にできるようになった後、同社はタイミングを見て海外進出する計画だ。初代製品であるMacro雲熊は、少なくとも10カ国・地域以上の標準パレットの積み込みに対応するよう設計されている。今後は、第2世代製品として標準積載量1000キログラム、満載時の航続距離1000キロメートルの無人輸送機およびMacro雲熊の多用途版の開発を進める。また、第3世代として新エネルギーを動力源とする大型無人輸送機の開発スケジュールも決まっている。
同社は2025年、北京の研究開発本部や江蘇省無錫市の最終組立工場、浙江省平湖市の生産基地の能力を強化し、製品試験と市場開拓を加速していく考えだ。
*1元=約20円で計算しています。
(翻訳・田村広子)
36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。
原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録