スマート製造を支える中国の次世代人材 「パープルカラー」に脚光 

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従来型産業のデジタル技術による転換が進む中国で、ブルーカラーとホワイトカラーの境界を超えた「パープルカラー」と呼ばれる人材の需要が高まっている。実践的な技能とデジタル知識を兼ね備えた新時代の労働者は、中国が提唱する「新たな質の生産力」(科学技術イノベーションが主導し、質の高い発展を促す生産力)を支える大きな役割を果たしている。

中国製造業では近年、体力だけに頼る業務が減少の一途をたどり、生産現場でも技能や知力を兼ね備えた人材を求める傾向がますます顕在化している。パープルカラーとは、モノのインターネット(IoT)やビッグデータ、クラウドコンピューティング、人工知能(AI)などの新技術を自在に活用でき、理論や技術に精通し、実務に長けると同時に管理力やイノベーション能力も兼ね備えた複合型人材を指す。

江蘇省蘇州市にある光ファイバーメーカー、江蘇亨通光纖科技のスマート工場では、2万平方メートルの生産ラインで稼働する大型設備約400台の巡回点検やパラメーター調整を8人以下で担っている。研究開発上級エンジニアの張功会さん(37)はそのうちの1人だ。「2009年に入社し、技術員として現場で経験を積んだ。その経験が製品開発にも生きている」と語る。

同社製造研究開発センターの宋君総経理は、パープルカラー人材が企業の「貴重な財産」になっていると指摘する。「うちの作業員は人数こそ少ないが、総合的な能力が高く、研究開発も製造も知っている。生産管理や効率向上を担えるだけでなく、突発的な問題にも対応できる」

中国人民大学労働人事学院の研究チームが発表した「新たな質の生産力応用型人材雇用トレンド報告」によると、全国のパープルカラー人材の総需要は2022年に約2500万人に達した。増加傾向は続いており、35年には3100万人を超え、製造業全体の労働需要の4分の1近くを占める可能性があるという。

製造業のデジタル化とスマート化が加速する中、こうした人材はますます企業に欠かせない存在となっている。中国人民大学労働人事学院の趙忠院長は「パープルカラー人材の価値は技能と管理の複合にとどまらない」と指摘する。継続的な自己学習を通じ、各生産工程での「小さなイノベーション」を実現することで、産業全体の革新と高度化を促進する力にもなるという。

中国労働・社会保障科学研究院職業・技能研究室の童天研究員は「産業のデジタル化とスマート化が知識と技能の更新を加速させるとともに、職務の統合度合いを一気に高め、従来の人材分類体系を打ち破った」と分析。新たな質の生産力とともに生まれたパープルカラーの労働者は「より高度で幅広く柔軟性のある学びと成長の場を必要としている」と強調した。

職業学校の一部でも、企業や研究機関と連携し、理論的な基礎と実践的な技術、進取の精神を兼ね備えた複合型人材育成の取り組みが始まっている。中国製造業の高度化とともに、パープルカラー人材の争奪戦はさらに激化する見通しだ。【新華社北京】

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