自動運転と路車間通信を支える、高精度地図の中国新興が約15億円を調達

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2019年10月、高精度地図とそのソリューションサービスを手掛ける「寛櫈科技(Kuan Deng)」は、シリーズA+で約1億元(約15億円)を調達した。リードインベスターは易行基金(Yihang Funds)。資金は自動運転と路車間通信における高精度地図の商業化の加速に充てる予定。

寛櫈科技は2017年5月に百度(バイドゥ)の元副総裁の劉駿氏によって設立された。北京、貴州などにR&Dセンターやビッグデータセンターを抱え、主に自動運転やスマート交通エコシステム向けの基礎データサービスの提供、純正高精度地図の制作、測位およびクラウドソーシングプラットフォームを活用したソリューションの研究開発に取り組んでいる。同社は昨年にもシリーズAで数億元(数十億円)を調達。リードインベスターはIDGキャピタル、コ・インベスターは成為資本(Chengwei Capital)、瀾亭資本(Lanting Capital)などが務めた。

高精度地図は自動運転の安全性を保証する中核技術であり、巨大な市場ポテンシャルを秘めている。米ゴールドマンサックスは、高精度地図市場は、2020年までに21億ドル(約2300億円)に、2025年には94億ドル(約1兆200億円)に達すると予想。中国の自動運転市場に限っても、現在の自動車保有台数が3億台で、1台当たり毎年100元(約1500円)のサービス料を徴収すると仮定した場合、市場規模は300億元(約4700億円)を超える。

現在、既存の地図サービス企業では、アリババ系の「高徳地図(AutoNavi)」、百度(バイドゥ)、テンセント系の「四維図新(NavInfo)」が比較的早期から高精度地図分野に参入しているほか、IT巨頭のファーウェイ、生活関連サービスの美団(Meituan)、EC大手の京東(JD.com)及びスタートアップの「Wayz.ai」、「極奥科技(GEOtech)」、ユニコーンに成長した「Momenta(初速度)」なども同分野に切り込んでいる。

寛櫈は今年4月に「大規模全自動高精度地図技術」をリリースし、大規模ネットワーキング、自動化処理、地図データ収集などに関する自社の技術力を対外的に示した。同社はすでに全国主要都市の高速道路および都市高速道の地図制作を終えているほか、国内外の大手自動車メーカーやティア1(自動車メーカーに直接納入する一次サプライヤー)各社との戦略提携を締結し、純正高精度地図や測位システムの導入を進めている。

寛櫈科技の中心メンバーは清華大学、北京大学、復旦大学、米スタンフォード大学、米マサチューセッツ大学といった有名校の修士・博士課程修了者で、Google、BAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)などのテック企業での就業経験がある。また同社の研究開発スタッフの割合は8割に上り、認知、高精度地図、高精度測位、AI、ビッグデータ、画像認識などの自動運転に必要な高精度地図に関する全分野を網羅している。

「寛櫈科技はナビゲーション地図の優良ライセンスを獲得した一番若い企業で、戦略計画はしっかりしており、事業分野も豊富である」と投資機関は同社の発展を有望視している。(編集・Ai)

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