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デバイスやプロセッサ向けの放熱システムをを手がける中国スタートアップ「鋭盟半導体(Realmagic)」がこのほど、追加のプレシリーズAで毅達資本(Addor Capital)と合創資本(Vinno Capital)から数千万元(数億円超)を調達した。この1年間で3度目の資金調達となり、調達額は計1億元(約20億円)近くに上った。今回の資金は、製品の試験プラットフォーム構築や研究開発などに用いられる。
鋭盟半導体は2020年に設立され、スマートデバイスや高性能プロセッサ向けのアクティブな放熱システムを開発し、材料からデバイス、チップ、アルゴリズムまで包括的な技術体系を確立している。
創業者の黎氷CEOは香港中文大学で博士号を取得し、深圳大学電子情報工程学院で博士課程指導教員を務めている。圧電MEMSセンサーやアクチュエーターで構築されるマイクロシステムなどの分野で20年近く研究に携わり、国家重点研究開発計画など10件余りのプロジェクトで中心的役割を担ってきた。
ここ数年、AIの搭載によってデバイスの処理能力が急速に向上しているが、性能を左右する鍵となるのが放熱技術だ。例えば、米クアルコムの「Snapdragon 8s Gen 3」プロセッサを搭載したPCは、NPU(ニューラルネットワークプロセッサ)の処理能力が50TOPSに達し、単位面積当たりの消費電力が従来製品に比べ40%増加した。「Stable Diffusion」などの生成AIを使うと、CPUとGPUの消費電力が瞬間的に8Wを超え、本体の温度が15分で45度へと急上昇するため、クロックダウンが起こり、リアルタイムなAI処理や音声対話などの機能に影響を及ぼす。
黎CEOは、放熱技術に注目した理由について「AIモデルの発展によって、クラウドやデバイスに使われるプロセッサなどの放熱ソリューションに対する需要が急速に拡大している」と説明。特にパッケージやウエハレベルでのアクティブな放熱技術が求められていると強調する。
従来の空冷ファンには一定の放熱効果がある一方、スペースを取るためデバイスの薄型化が難しくなるほか、信頼性や寿命、騒音など多くの課題を抱えていた。そのため、厚さ7mm以下の超薄型スマートフォンやARグラスなどの先進的なデバイスに採用しづらく、業界ではより小型で信頼性の高いアクティブな放熱ソリューションの開発が急務とされている。
鋭盟半導体の放熱マイクロポンプ「MagicCool」は、ミリメートル級の薄さで産業レベルの性能を実現した新製品だ。圧電MEMS技術をベースに、高周波振動によって気体や液体を送る効率的な放熱ソリューションで、既存の半導体や先進的なパッケージング技術にも対応する。
同製品は厚みわずか2mm、流量が1分当たり2リットルで、消費電力200mW、背圧420Pa、熱伝達率330W/(m²・K)と、優れた性能を有している。黎CEOは「すでに複数の大手デバイスメーカーと製品の量産化を進めており、間もなく出荷が始まる」と話した。
黎CEOによると、同社の技術者はマルチフィジックスやシミュレーションの設計手法に詳しく、独自の構造や流路設計により流動抵抗を低減し、単位面積当たりの流量を高めたのが特長だ。また、圧電セラミックやデバイスを自社で開発して製品の性能、信頼性を確保しているほか、システムオンチップ(SoC)化することで小型化とコスト低減を実現している。
*1元=約20円で計算しています。
(翻訳・大谷晶洋)
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