中国外食チェーン、日本進出後の勝敗は?ーー<ドリンク>編

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中国飲食チェーンの日本進出が本格化しておよそ10年になる。既に撤退したブランドも少なくない一方で、今も一定の存在感を放つチェーンもある。代表的なのが、丁寧なサービスがウリの火鍋店「海底撈」(2015年)、マーラータンブームの火付け役「楊國福」(2018年)、格安ドリンクスタンドとして話題になった蜜雪冰城(MIXUE、2023年)といったところだ。

今回は「マーラータン・火鍋編」と「ドリンク編」に分け、主要チェーンの日本進出後の歩みを振り返ってみたい。

「ガチ中華」から「ぽくない中華」、中国系飲食店が続々と日本に上陸する理由は

COTTI COFFEE:1年で2000店舗目標、その結果は?

日本進出当初はスタバ超えを宣言していたが……

中国では知らない人がいないコーヒーチェーンのCOTTI COFFEE。スタバを抜いて中国最大のコーヒーチェーンになったluckin coffee(ラッキンコーヒー)の創業者が、同社を追放された後にリベンジのために2022年に立ち上げた新興コーヒーチェーンだ。

異常なスピードで中国内で店舗数を増やし、創業翌年の2023年、東京都文京区の本郷に日本1号店をオープンした。

当時取材した日本のエリアマネージャーは「1年後にスターバックスの店舗数を超える2000店舗出店を目指す」と豪語していたが、2025年8月現在東京都に5店舗、山梨県に1店舗、大阪府に2店舗のみの展開で、2ケタにも乗っていない。出店地域もなぞにばらついており、日本向けのマーケティングを行っているようにも見えない。

早期に出店した本郷や高田馬場の店舗は閉店している

COTTI COFFEEは中国ではテイクアウトを想定したスタンド式の店舗メインで運営し、競合店より安くなるクーポンをアプリでばらまいて集客している。日本の店舗もイートインスペースは貧弱だ。

一方、日本のコーヒーチェーンの消費者は、イートインの快適さや広さを重視する(テイクアウトならコンビニなど他の選択肢があるからだ)。COTTI COFFEEは日本でもクーポンを発行しているが、アプリをダウンロードしてクレジットカードを登録して決済しないと使えないなど、日本人客が利用するにはハードルが高いことも苦戦の理由だろう。

看板メニューでもあるココナッツラテは日本の若者にも受けそうなポテンシャルを秘めており、今後、TikTokやInstagramなどをきっかけに一気にバズる可能性はあるかもしれないが、ちぐはぐさが何とももったいなく感じる。

中国発コーヒーチェーンCotti Coffeeが日本進出、目標は「来年スタバ超え」【中華ビジネス戦記】

MIXUE:個人的には期待していたが……微妙な蜜雪冰城

中国ではデフレの寵児的扱いのMIXUE。日本では立ち位置がいまいち分かりにくい

タピオカミルクティーやソフトクリームを激安価格で提供する「MIXUE」は中国で最も注目されている飲食チェーンかもしれない。デフレに入った中国で低価格を武器に業績を伸ばし、しかも低価格ゆえに東南アジアでも店舗を広げている。

日本では2023年に池袋に1号店がオープンし、タピオカがのったサンデー(330円)やソフトクリーム(160円)の安さが話題になった。中国の価格よりは高いのだが、物価が上がりつつある日本では安く感じる。日本でも支持されるのではと期待していたが、実際には店舗数をほとんど伸ばすことができず、現在では東京で1店舗、大阪でも2店舗にとどまっている(現在、横浜で新店舗の出店準備中ではあるが)。

MIXUEの敗因は市場調査もしないで出店したことだと考えている。高校などが多く集まるようなエリアに出していれば、若い日本人に受け、マーラータンのように人気になった可能性もある。

激安タピオカドリンク「MIXUE」が日本上陸、在日中国人狙いですでに原宿など3店舗【中華ビジネス戦記】 

振り返ってみると、日本に進出した中国の有名チェーンで成功と言えるのはマーラータンの楊國福だけだった。その楊國福もマーラータンブームが一服すれば数年前のタピオカブームの二の舞になる可能性がある。今回取り上げたチェーン店以外にも、多くの中国チェーン店が池袋や高田馬場などに出店している。中国国内の景気低迷を鑑みると今後さらに日本進出の動きが強まると予想される。

文:阿生

東京で中華を食べ歩く会社員。早稲田大学在学中に上海・復旦大学に1年間留学し、現地中華にはまる。現在はIT企業に勤める傍ら都内に新しくオープンした中華を食べ歩いている。X:iam_asheng

 

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