18年の継続開催、国際色豊かに進化――大阪で浙江省輸出商品交易会、自動運転EVから靴下まで100万点

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9月10~12日に、大阪市で「2025大阪国際ライフスタイルショー中国・浙江省輸出商品(大阪)交易会」が開かれる。2008年に始まったこの展示会は、新型コロナウイルス禍や関西国際空港の台風被害などでも途切れることなく続き、18年の歴史を刻んだ。大会を運営する浙江遠大国際会展の陳璀執行役員は36Krの単独インタビューで「困難な中でも開催を途絶えさせなかったことが、信頼につながった」と強調した。

浙江省は以前はアリババ・グループの本社がある場所として知られてきたが、生成人工知能(AI)の「ディープシーク(DeepSeek)」や人型ロボットの「宇樹科技(Unitree Robotics)」など「六小龍」と呼ばれる中国を代表する先端的な新興テック企業を生んだ地として話題を呼んでいる。日本との関係を強固に結ぶプラットフォームとなった展示会に今年も注目したい。

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出展企業は前年比で25%増の約300社が参加し、面積は2万平方メートルに及ぶ。展示品目は、分野別でも生活雑貨や衣料品、アウトドア、ペット用品100種類を超え、100万点にのぼる。中国企業がメインで始まった展示会だが、今年はマレーシア、ポルトガル、インドネシア、パキスタンなどの企業も加わり、6カ国に拡大している。かつて浙江省単独の色彩が強かった会場は、国際色あふれる展示に変貌を遂げた。延べ来場者数は2万人超を見込む。

出展商品を紹介する陳璀執行役員

日本市場を深掘り

今回は「生活の革新と相互シェア」がテーマだ。楽天、TikTok(ティックトック)、JETROの専門家を招いたフォーラムも開く。さらに富裕層やファッションに敏感な人たちを顧客に抱える阪急百貨店と初めて提携し、VIPサービスやバイヤーとのマッチングを提供するなど、日本市場を、深掘りする道筋を提供する。

具体的には、未来の生活様式を象徴する自動運転電気自動車(EV)スタートアップ「PIX Moving」の無人ミニバス、座禅や瞑想に使う「心冥想」の人体工学坐具、「九聯科技」のロボット掃除機、「Coody」のキャンプ用品など幅広い分野の商品が紹介される。

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また、リサイクル原料を使用した家庭用品・ペット用品や、再生可能なプラスチック食器、植物由来の文具など環境負荷の低い生活に役立つ商品も並ぶ。 もちろん、浙江省の地場産業の製品も健在で、中国禅宗五山のひとつとして知られる杭州霊隠寺の祈祷ストラップやブレスレット(お守り)をはじめ、武義の魔法瓶、永康のアウトドア用品、海寧の靴下、嘉興の衣料品、義烏の日用品、台州のプラスチック家庭用品など、地域色豊かなアイテムも披露される。

“映える”とSNSでも話題を呼ぶ霊隠寺ストラップ型お守り

「 コスト優位 」から「機能・技術・デザイン」へ

浙江省は2025年1~6月期の日本との貿易額が、前年同期比3.5%増の130億ドル(約1兆9300億円)と伸びた。日本向けの輸出額が5.9%増の76億7000万ドル(約1兆1400億円)、日本からの輸入額が0.1%増の53億3000万ドル(約7900億円)だった。2025年6月までに浙江省の企業による対日投資は累計372社、総額25億2000万ドル(約3700億円)に達し、自動車、機械、卸売業などの関連に集中している。

ただ、日本市場への参入は容易ではない。電気製品や日用品の分野ではパナソニック、ソニー、象印など国内ブランドが強固な地位を築き、無印良品やニトリといった流通業界のブランドも人気を集めている。参入する中国企業ブランドは「 コスト優位 」では勝てず「機能・技術・デザイン」での独自の強みを持つことが求められる。特にスマート家電などでは、日本のデジタルネイティブの若年層への浸透が期待され、イノベーションをけん引してきた浙江企業が突破口を開く可能性を秘めていると言える。

展示会場には生活雑貨など100種類超、総計100万点にのぼる製品が並ぶ

欧米への試金石

浙江企業にとって日本市場は「最も難関かつ価値の高い試金石」(陳執行役員)という。日本で品質要求をクリアすれば、欧米市場への信頼性が飛躍的に高まる。実際、米国や欧州のバイヤーは「日本市場での実績」を輸入判断の材料にしており、陳執行役員は「日本市場は品質・細部への要求が極めて高い。だが、一度突破できれば欧米市場への拡張にも信頼性を担保できる」と強調する。世界に向けた浙江ブランドの発信基地を築く長期戦略を描いているという。

公式HP:2025大阪国際ライフスタイルショー中国・浙江省輸出商品(大阪)交易会

(取材・36Kr Japan編集部)

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