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ロボタクシーを展開している中国の自動運転企業「Pony.ai(ポニーAI;小馬智行)」 が新たな成長局面に突入し、世界展開を本格化させている。創業者の彭軍CEOが9月19日に千葉市の幕張メッセで講演し「過去10年は技術開発に費やしてきたが、いま私たちは量産・商業展開への転換点に立っている」と強調した。
ポニーAIは2016年にシリコンバレーで発足し、2019年にトヨタ自動車と戦略提携を結び、2020年には4億ドル(約592億円)の投資を受けたことで知られる。2022年には中国で初めて安全オペレーターを乗せない完全無人運行を実現し、2024年には米国市場に上場を果たした。
日本市場について「積極的に参入を検討しており、期待してほしい。日本企業と連携し、規制当局と協力して戦略的提携を構築し、既存の制度との摩擦を最小限に抑える」と述べた。さらに「既に東京で複数のグローバルプレーヤーが試験運用を開始しており、昨日運行しているのを目撃した」と指摘した。米グーグル系のWaymo(ウェイモ)などの動向に言及した。「次回(このイベントで)、講演する際には具体的な構想が固まっているだろう」との見通しを示した。
自動運転コストが人間を下回る
今年から第7世代ロボタクシー「Gen-7 Robotaxi」の展開を始めた。ベースとなる車両にはトヨタの電気自動車(EV)「bZ4X」を採用し、センサーや演算チップなどの主要部品を統一した。自動運転関連部品で従来比70%のコスト削減に成功し、追加コストは第6世代の3分の1にまで下げた。「量産と商用展開が可能になるコスト水準に到達した」と彭CEOは胸を張った。すでに400台以上を生産しており、年末までにその数を上回って拡大する計画も明かした。
マッキンゼーの調査によると、2025〜2026年には自動運転の1マイルあたりコストが人間ドライバーを下回る見通しで、サービス料金も従来のタクシーより15〜20%低く設定可能になるとされる。
彭CEOは「自動運転車の量産技術の確立、規制整備、コストの逆転の条件がそろえば指数関数的に伸びる。ロボタクシーが2030年には走行距離の相当部分を占め、2040年には人間のドライバーを上回るだろう」と語った。
無人運転で生まれる「第三の空間」
彭CEOは完全無人運転車を「移動の効率化」だけでなく、仕事と自宅以外の「第三の空間」の創出として位置づけている。「運転席を撤去でき、会議室を車内に設置できるなど多様な活動が可能になる」と語った。そのために「毎週、人工知能(AI)が100億マイル分のデータを学習しており、人間のドライバーの10倍以上上回る性能を実現した」と述べた。現在は、遠隔監視は一人で30台の稼働を管理できるようになっており、将来的には50台への拡張を目指している。
日本は重要市場で熱望
彭CEOは、ロボタクシーの大規模な普及が目前に迫っていると指摘した。中国国内では、北京、上海、広州、深圳の4大都市で商業運行を展開しているほか、海外ではルクセンブルク、韓国、カタール、ドバイ、シンガポールなどで現地パートナーと提携している。米国ではウーバーとも協業し、利用者獲得を進める。
彭CEOは「ロボタクシーは完全自動運転技術の最初に実用化された活用方法にすぎない。将来的には家庭用車両にも展開し、人々の移動そのものを再定義していく」と語る。
「日本は、自動車にとって重要な市場であり生産基地だ。確実に参入を熱望している」と強調し、人手不足や地方の交通需要などに応えていくことに意欲を示した。
*1ドル=約148円で計算しています。
(36Kr Japan編集部)
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