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近年、消費者向けエレクトロニクスデバイスの小型化と複雑化により、品質検査の精密度、正確度と効率の向上が求められている。中国国内で高騰しつつある人件費もロボットで人間を代替する流れを加速させている。
現在、PCB、FPD、半導体、太陽光発電、自動車電子等の業界では、目視による検査に替わり、自動光学検査装置(AOI、Auto Optical Inspection)による検査が行われている。これまでのAOI設備は海外から輸入されたものだったが、運送コストとサービスのローカライズ化という面で中国企業のニーズに応えられていない。そのため、AOI設備の国産市場が誕生した
「中科慧遠(CASI VISON)」は中国で唯一のAOI設備パッケージを生産できる企業で、産業用外観精密検査機器とソリューションのサービスプロバイダーである。同社は2016年に中国科学自動化研究所によりインキュベートされ、中国科学院自動化研究所と政府系ファンドから約1000万元(約1.5億円)を調達した。また、2018年と2019年にプレシリーズAとシリーズAの資金調達を完成し、合計1億元(約15億円)の資金を調達した。
同社CEO張武傑氏によると、コンピュータービジョンの産業分野での利用は、主に採寸、ロボットアームの動作に合わせた誘導と位置測定、精密位置決め、外観検査の4分野だという。中科慧遠は外観検査分野に特化しており、現段階の主力製品は携帯電話のフロントパネル検査用製品である。
同社は昨年9月に、フロントパネル用ガラスの完成品検査設備、ガラス基板検査設備、シルクスクリーンのオンライン品質管理設備、高精度3Dガラスバックカバー検査設備を開発し、今年から量産出荷を始めた。さらに同社は今年から、ディスプレイパネルの受入検査、接着検査、ディスプレイモジュール検査、ガラスエッジ検査の装置を開発し、来年には家電製品以外の分野にも製品ラインナップを広げる予定である。
最初に携帯電話のフロントパネルの外観検査から始めた理由について、CEO張氏は携帯電話産業の規模が十分に大きく成長し、しかもフロントパネルは人手による検査が主流だった点を挙げている。現在人件費は高騰し、熟練した検査員を育成するのに時間がかかり、また、目視の際の疲労によるミスもある。それに比べ、中科慧遠の自動化検査設備は人による検査をなくし、企業の人件費を削減することができる。
従来の人による検査では1日当たり1000から2000枚しか検査できないが、機械の場合1日当たりの検査可能な枚数は4万から4.5万枚で、かつ人による検査より品質が安定し、時間通りに完成できる。
また、外観検査分野では、携帯電話のガラス製フロントパネルの検査の難易度が高いという。よって、同社はその技術を精密機械製造とハイエンド設備等の分野へ拡大できる。中科慧遠の主要メンバーは中国科学院自動化研究所の出身で、関連技術に関して長年の経験を積んでいる。また、関連産業に入って3年間研究を行った経験もある。
現在、中科慧遠の取引先には、「伯恩光学(Biel Crystal)」や「京東方(BOE)」等のガラスフロントパネルまたはディスプレイパネル分野のトップ企業があり、張氏によると、今年の年末までに受注金額が5000~6000万元(約7.5~9億円)、来年の売上高が1億元(約15億円)になる見込みだという。なお、取引先は通常1~1.5年で投資原価の回収ができるという。
(トップ画像はpexels.comが提供)
(翻訳:小六)
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