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テクノロジーメディアの米「Techcrunch」によると、ベンチャーキャピタル(VC)世界最大手の米セコイア・キャピタルがレイターステージの企業に対する投資資金として、10億ドル(約1100億円)を集めたことが分かった。また、中国部門の「セコイア・キャピタル・チャイナ」もベンチャー企業やエクスパンションステージの企業への投資資金として23億5000万ドル(約2570億円)を確保した。内訳は「セコイア・キャピタル・チャイナ・グロースファンドⅤ」で18億ドル(約1970億円)、「セコイア・キャピタル・チャイナ・ベンチャーファンドⅦ」で5億5000万ドル(約600億円)。
セコイア・キャピタルは1972年、今年10月に死去したドン・バレンタイン氏がシリコンバレーで創業した。これまでに米国のアップル、シスコシステムズ、オラクル、ヤフー、グーグル、LinkdIn(リンクトイン)など著名IT企業に投資した実績があり、同社がかつて投資した上場企業の時価総額はナスダック市場全体の20%以上を占める。同社はかつて、シリコンバレーから半径40マイル(約64キロメートル)以上離れた企業には投資しないと公言していたが、今では中国、インド、イスラエルにオフィスを構え、世界的な影響力を誇っている。中国の民間シンクタンク「胡潤研究院(Hulun Reserch Institute)」がまとめた「2019年胡潤グローバルユニコーン企業ランキング」によると、セコイア・キャピタルは評価額10億ドル(約1100億円)以上のユニコーン企業への投資を最も数多く行っており、その数は92社とランキングされた企業全体の5分の1に上る。また投資先にはランキングの上位3位を占めるアリババグループ傘下の金融会社アント・フィナンシャル(螞蟻金服)、ショート動画アプリ「TikTok」などを運営する「バイトダンス(字節跳動)」、配車サービスの「DiDi(滴滴出行)」も含まれている。
セコイア・キャピタル・チャイナは2005年に設立され、現時点で2000億元(約3兆1000億円)以上の資産を運用する。投資先はバイトダンス、フードデリバリーや口コミサイトなど生活関連サービスを手がける「美団点評(MeituanDianping)」、DiDi、ソーシャルEC大手「拼多多(Pinduoduo)」、動画投稿SNSアプリ「快手(Kuaishou)」など。セコイア・キャピタルのインド部門「セコイア・キャピタル・インド」もインド最大のVCとしてファンド7本、約45億ドル(約4920億円)を運用。これまでにホテルチェーン大手の「OYO Hotels & Homes」や配車サービスの「Ola」、グルメサイトやフードデリバリーサービスの「Zomato」などに出資した実績を持つ。さらに東南アジアにも触手を伸ばし、インドネシアの配車サービス「Go-Jek」、シンガポールのフリマアプリ「Carousell」のほか、オンラインマーケットプレイスのシンガポール「Zilingo」とインドネシア「Tokopedia」などに出資している。また、スタートアップ情報サービスの米「クランチベース(Crunchbase)」によると、セコイア・キャピタルのイスラエル法人もベンチャーファンド1本とセカンダリーファンド1本を運用、153件の案件に出資している。
今年は資金調達をめぐる環境が全体的に厳しい中で二極化が鮮明になった。セコイア・キャピタル・チャイナのほか、米PEのウォーバーグ・ピンカスも中国向け投資資金として45億ドル(約4920億円)を調達。同じく米PEのTPGキャピタルのアジア部門も46億ドル(約5030億円)を調達した。セコイア・キャピタル・チャイナの創業者兼パートナー、沈南鵬氏はかつて英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)の取材に対し、今や資金量の要件が厳しくなっており、優れた企業の主要出資者になるには1億ドル(約110億円)だけ出資するというわけにはいかないと指摘。評価額が数十億ドル(数千億円)になるような企業にしていきたければ、4~5億ドル(約440~550億円)の出資が必要だとの考えを明らかにしている。
(翻訳・池田晃子)
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