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広州モーターショー2025では、中国電気自動車(EV)メーカーの新興勢力が強い存在感を示す一方、日本メーカーも重要な発表を相次いで行った。
ただしその歩みは、ブランドによって明暗が分かれた。日産は攻勢を強め、トヨタも存在感を見せた一方で、ホンダは依然として中国市場で苦戦が続く。
本稿(下編)では、広州ショーで浮き彫りになった日本メーカーの現在地と、その背景にある中国市場の変化を読み解く。
前編を読む:広州モーターショー2025が“縮小ムード”、それでも躍進続く中国新興EV勢(上編)
日産は広州モーターショー2025に先行して中国専売PHEV「N6」と、セダン「ティアナ」の新型モデルを発表して大きな話題を呼んだ。
N6は2025年3月に発売、月1万台超を販売する中国専売BEV「N7」のPHEV版と位置付けられており、パワートレイン以外に若干小さいボディと異なるフロントマスクで差別化を図る。価格ももっとも安いグレードで9万1900元(約200万円)と、日系EVの常識を破壊する価格設定だ。
また、同時に発表された新型ティアナは6年間販売していた「アルティマ」の内外を一新させるビッグマイナーチェンジと位置付けられ、フラットでシンプルなダッシュボードや大型センタースクリーン、ファーウェイ製ソフトウェア搭載などで若返りを図る形だ。

トヨタからは新車種の発表はなかったが、4月の上海モーターショー2025で発表した広汽トヨタ(広州汽車との合弁)の電動セダン「bZ7」に関する続報を明かした。
極上の乗り心地を提供するエアサスペンションや広々で高級感のある室内空間をアピールポイントとしており、具体的な価格は明かされなかったものの、発表では繰り返し「20万元(約440万円)」クラスになることが強調された。いくつかの中国メディアではベースグレードはさらに安い「15万元(約330万円)」で販売されるとも予想しており、電動SUV「bZ3X」に次ぐヒット車種になることが期待される。

絶好調なトヨタや日産を尻目に、中国事業の改善が一向に見られないのがホンダだ。ホンダは25年3月に満を持して新規設計の中国専売BEV「S7」「P7」をそれぞれ東風ホンダと広汽ホンダから発売したが、ライバルに対してあまりにも高い価格と中国の需要を捉えていないパッケージングにより販売状況は当初から低迷、両モデルを合算しても月間販売台数は700台に満たない。
設計自体はスポーティで筆者が試乗した際にもその楽しい乗り味に感動したのだが、残念ながら中国の消費者はそのようなBEVを求める段階にまだ無いのである。25年4月にはよりスポーティさを高めた5ドアBEV「GT」を発売予定と明かし、今回の広州モーターショー2025では何らかの続報が期待されていたが、内部の事情によって開発が延期されたと言われている。一刻も早い軌道修正が求められる中国事業において、このグダグダさはさらなる追い討ちを与えることだろう。

昨今の中国市場はBEV一辺倒ではなく、PHEV・EREVが急速に支持を広げている。2025年8月にはトヨタも同社初のEREVをミニバン「シエナ」とSUV「ハイランダー」の次期型モデルに設定すると明かし、日本勢も新たな戦略転換を迫られている。
前編を読む:広州モーターショー2025が“縮小ムード”、それでも躍進続く中国新興EV勢(上編)
(文:中国車研究家 加藤ヒロト)
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