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luckin coffee(瑞幸珈琲)は昨年11月中旬、唐詩をテーマにした新たなコンセプトカフェを西安にオープンした。唐代の詩人である杜甫の作品が店内の壁一面を占めているのが最大の特徴で、現代画家によって描かれた「飲中八仙図」も添えられている。同テーマのカップホルダーやショッパーなどの関連グッズも併せて準備された。
luckin coffeeはこれ以前にも、2018年10月に北京の金融街で作家の馮唐氏の作品から着想を得たコンセプトカフェを開業しており、こうした業態に乗り気だ。木材を使用した店内の素朴なテイストと壁の書作が大勢の文化好きな若者を引きつけ、インターネット上での拡散も相まり当時は大人気を博した。このほか、テンセントのメッセンジャーアプリ「QQ」やネットイース・クラウドミュージック(網易雲音楽)、さらにはNASAとのコラボも実現させている。
他社の共同マーケティングでよく採用されるポップアップストアとは異なり、これらのコンセプトカフェは長期的に経営管理される常設店だ。唐詩コンセプトカフェのもう一つの特徴は、これまでのようなIPコンテンツやブランドとのコラボではなく、都市の特性を基軸にした専門店である点だ。
コーヒーリテール業界の巨頭スターバックスもここ数年、ブランドの多元化に関する模索を続けている。上海に世界で二番目にオープンしたリザーブ・ロースタリーでは、コーヒー豆が焙煎される全プロセスを直接体験でき、今では上海の一大観光名所となった。また北京の故宮にほど近い北京坊の旗艦店では、3階建ての空間にスターバックス・リザーブ、ティードリンク専門のTEAVANAおよびアルコールドリンクを提供するバーが設置され、消費者にさまざまな選択肢が提供されている。
luckin coffeeとスターバックスは、新型店舗の開設において異なる戦略をとっている。luckin coffeeの手法は、各種コンセプトの特色を店内のデザインなどに反映させるものだ。一方でスターバックスは商品を中心に据え、各商品をめぐるニーズをもとに構想を練っており、人目を引く店名やマーケティング方式を採用していない。新し物好きの若者たちはラッキンコーヒーのコンセプトカフェに行き写真を撮るだろうが、じっくりコーヒーを味わいたい顧客はスターバックスを選ぶかもしれない。
luckin coffeeは今後、南京や杭州にもコンセプトカフェを開業するとのこと。若年層の顧客は同社にとっての強みだが、流動の大きいこれらの顧客をどう引き留めるかは課題でもある。ユーザーエクスペリエンスの向上にあたって、単なる「中国風」頼みでは不十分だといえるだろう。
※記事内の写真とアイキャッチはluckin coffeeの公式アカウントより
(翻訳・神部明果)
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