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WHO(世界保健機関)の統計によると、全世界で毎年約3億5700万人がクラミジア、淋病、梅毒、トリコモナス症といった性感染症に感染しているという。中国では毎年新たに50万人が梅毒に、125万人がエイズに感染しているといわれる。性感染症の増加とまん延にしたがい、性感染症に対しては発病後の治療だけではなく「早期発見、早期治療、早期予防、早期回復」がより重視されるようになっている。
「佳検(jjcheck)」は家庭でできる性感染症関連の検査に特化したO2Oプラットフォームだ。創業者の徐壮氏と徐珂氏は、同プラットフォームにより地域による臨床検査資源の不均衡という問題を解決したいという。国内では多くの研究機関が最新の検査技術を持っているが、これらの技術が一般の消費者の手には届かないことが業界の課題となっている。
ユーザーは佳検のミニプログラムから検査項目を選んで申し込むことができる。申し込みから24時間以内に物流最大手「順豊エクスプレス(SF Express)」が検査キットを自宅に配送。説明に従って検体を採取したのち、佳検と提携している研究機関に送れば、ミニプログラム上で研究機関から検査結果の報告を受け取ることができる。
企業向けには、佳検は主に第三者研究機関への集客をサポート。自社サービスを他のヘルスケアサービスプラットフォームとつなげている。例えばアダルトグッズのオンラインショップやオンライン問診を行うプラットフォームなどだ。
簡単な採取方法とインターネットを利用した高い秘匿性が在宅検査に最適
共同創業者の1人、徐珂氏によると、ユーザーが佳検を利用する理由は主に二つだという。一つはハイリスクな性行為をした後の性感染症に対する不安、もう一つはプライバシーへの不安だ。
中国では多くのユーザーが性感染症検査に対して抵抗を感じている。彼らが検査を受けたがらない最大の理由はプライバシーの問題にある。医療機関での検査でも訪問による検査でもユーザーのプライバシー保護に対するニーズを満たすことができない。佳検のサービスプロセスは性感染症検査の「急(急いでいる)、羞(恥ずかしい)、準(検査精度)、痛(痛みがある)、遠(遠い)」という五つの問題に対して、「専門性」「プライバシーの保護」「利便性」で対応している。
まずは専門性だ。ISO15189認証を取得した第三者の研究機関と提携し、業界最先端の技術を確保、検体検査と検査報告の品質では医療機関の認可を受けており、「仁度生物(RENDU BIOTECHNOLOGY)」や「迪安診断(DIAN Diagnostics)」などの検査機関と提携している。
次にプライバシーの保護だ。匿名での登録、中身がわからないような包装での配送、匿名での報告書など、ユーザーのプライバシーを徹底して保護している。
最後に利便性だ。ユーザーの専門的な知識や技能には限りがあることから、複雑な方法で検体を採取するのは現実的でない。佳検は自宅で検体採取ができ、針などを使わず採取できる尿や唾液での検査項目を優先して行っている。
昨年10月中旬のサービス開始以来、佳検の製品は6000人以上に利用されている。徐珂氏によると、ユーザーの年齢層は若く、大部分が20歳から40歳の間だという。注目すべきは利用頻度の低い従来の健康診断商品と異なり、大部分のユーザーが「陰性」との診断を受けた後も、ハイリスクな性行為を行う度に頻繁に再検査をしていることだ。
中国の健康診断業界は今後も高い成長が見込まれる。利用者層は幅広く、政策も追い風となっている。「太平洋証券(PACIFIC SECURITIES)」のリポートによると、健康診断市場は2017年には1350億元(約2兆1600億円)に達しており、将来的には毎年10~15%成長するとみられている。2016年には1160億元(約1兆9000億円)だった市場が2020年には2000億元(約3兆2000億円)を超える見込みだ。健康診断を専門とする企業も急速に成長しており、国内や米国、香港などで相次いで上場している。徐珂氏はこれを国民の健康意識の高まりととらえ、佳検が在宅検査市場を開拓するのには現在が最適だと考えている。
現在、在宅検査市場はまだ製品ライフサイクルでいう導入期にあり、どのように消費者に対する教育や啓蒙を行い、検査精度に対する不安を解消するのか、検査で陽性が出た場合の患者ケア、優良な医師へマッチングしオフラインで治療を行うこと、これらは全て佳検が取り組むべき課題だろう。
現在、佳検はヘルスケア産業に特化している投資機構や川上・川下産業の提携パートナーを探しており、共同で在宅検査市場の発展と成熟を推し進めたいとしている。
(翻訳・山口幸子)
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