IoTで女性を守る、ジュエリー型防犯グッズの「Totwoo」

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スマートジュエリーブランド「Totwoo」は1月9日、IoT(モノのインターネット)対応の女性向け防犯グッズ「TOTWOO智能平安果」(スマートアップル)を発表した。定価は699元(約1万1000円)。

Totwooは「北京心有霊犀科技(Beijing Xinyoulingxi Technology)」が手掛けるスマートジュエリーブランドで、2015年に設立された。スマートフォンと連動するネックレスや指輪、ブレスレット、ペンダントなどさまざまなタイプの商品を展開する。

創業者の王潔明氏によると、今回発表した「スマートアップル」シリーズは女性向け防犯機能が売りだという。中国ではリンゴの別名が「平安果」であることから、「平安」(無事)にちなんでリンゴの形が採用された。2月のバレンタインデーに発売予定のバージョンでは、ワンプッシュで助けを求められる基本性能に加え、遠隔撮影や幸運占いなどの機能も搭載されている。

緊急事態に遭遇した場合、ボタンを4秒間長押しすると救援機能が起動し、その場で10秒間の録音が始まる。その後、利用者が事前に登録した3件の緊急連絡先に救助を求めるショートメッセージが送られ、かつ自動的に電話がかかる仕組みだ。

救助を求めるショートメッセージを受け取った人は、メッセージ内のリンクから送信者の現在地や録音された10秒間の音声、利用者が作成した医療情報などを確認し、救援の意思決定を行うとともに、タップして救援要請を確認したことを伝える。

救援者からの反応を得ると、スマートアップルは点灯または振動して利用者に知らせる。誤操作や緊急事態が収束した場合、利用者はボタンを3回プッシュするだけで救助要請を撤回できる。

救助要請者の医療情報とその他情報

王氏によると、スマートアップルはeSIMを内蔵しており、スマホに依存せず、単独でSOSを発することが可能だ。スマホで助けを求めることができない状況でもSOSを出し、対応してもらうことができる。

同製品のeSIMは中国移動(チャイナモバイル)が提供する2G対応IoTチップだ。内蔵するチップセットにはスイス・ユーブロックス社の位置測定用チップ、ノルウェー「Nordic semiconductor」社のBluetooth5.0対応チップ、米テキサス・インスツルメンツ社のワイヤレス充電制御ICも搭載しており、GPSと中国独自の衛星システム「北斗」の両方に対応、ワイヤレス充電が可能で待機時間は20日間となっている。

内蔵されたチップセット

スマートアップルの開発には15カ月を要した。王氏によると、開発プロセス全体を通して装飾品であることを意識し、美的価値を非常に重視したという。同製品の表側には耐破損ガラス、裏側は本体に強化ガラスを使用。ボタンにはオーストリア・スワロフスキー社製ジルコニアをはめ込んだ。付属品と組み合わせてネックレス、ブレスレット、バッグチャーム、キーホルダーとして使えるほか、本体だけをポケットに入れて持ち歩くこともできる。

同製品は主にオンラインで販売される予定。都市部のホワイトカラーの女性がターゲットだ。王氏は「中国の女性は決して防犯意識が高いわけではないが、友人や家族が心配する気持ちがニーズにつながる。このため、自分用に購入する以外に、新年など節目のギフトとしてのニーズも重視する」と語る。

スマートアップル発表会の場では、セキュリティーやテロ対策の訓練とセキュリティーサービスを提供する「国際安全防衛学院(International Security Defence College)」と提携したことも明らかにされた。例えば、3件の緊急連絡先からいずれも反応が得られなかった場合、国際安全防衛学院のコールセンターが対応するという。同学院の馨陽院長によると、現在は北京で試行拠点の建設が進められており、今後は拠点を全国に広げていく方針だ。

Totwooは将来的に、警察や専門の民間会社に加え、周辺のTotwooユーザーも含めた救援体制を確立し、より多くの力を結集して救助要請に応えられるようにしたいと考えている。

北京心有霊犀科技は2018年にシリーズA+で資金を調達している。創業者兼CEOの王氏は国営通信社の新華社北欧支局記者、ネットメディア「VIVA」総裁を務めるなどメディア業界で18年のキャリアを持つ。共同創業者のMarco Dal Maso氏はジュエリー産業で有名なイタリア・ビチェンツァの出身で、一族はイタリアでジュエリー企業を経営している。
(翻訳・池田晃子)

記事中の写真:Totwoo

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