越境ファッションEC「RunwayGO」、デジタル化サービスで海外小規模ブランドを支援

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近年、多くの海外ブランドが中国ECサイトに出店し、成功を収めている。

2018年、アリババグループが運営する越境ECサイト「天猫国際(Tmall Global)」に出店する海外企業数は前年同期比122%増と大きく伸び、新規出店店舗の年間流通総額(GMV)も前年同期比で119%増加した。海外ブランドの成長を支えた要因の一つは、中国消費者の購買力上昇にある。金融誌の「胡潤百富(Hurun Report)」によると、中国における個人総資産額5万~50万ドル(約540~5400万円)の中産階級の人口は、2019年に世界第一位の1億900万人に達したという。また、「小紅書(RED)」等のSNS型ECアプリや海外ブランド専門のライブ配信等が広まったことで、海外ブランドに対する認知度が上がったことも影響している。

消費の主役交代に伴い、中国の消費者の嗜好も多様化しており、ロングテール商品の売り上げが順調に増加している。中国最大のECサイト「淘宝(タオバオ)」が展開する、海外商品を扱うECサイト「淘宝全球購(タオバオグローバル)」の2018年レポートからも、越境EC市場は細分化していく傾向であることが見て取れる。化粧品分野では、ポーランドやモロッコといったなじみの薄い国の商品の売り上げが前年比で80%以上の伸び率を示し、チェコ製のコンシーラーの売り上げは数千倍になった。アパレルでは、米Theory(セオリー)が前年と比べて1000倍近い売り上げを記録した。

こうした海外の小規模ブランドは、中国越境EC市場の発展を支える新しい力になる可能性を秘めている。しかし、特にファッション商品に関しては、SKUが多く、消費者の嗜好が多様であるため、1つのプラットフォームで全ての需要を満たすのが難しいという問題がある。その問題に着目したBtoB越境ECプラットフォーム「RunwayGO」は、中国国内の小売業者と海外ブランドを結び、商品の選択から注文、配送に至るまで、包括的なサービスを展開している。

2019年1月に設立されたRunwayGOは6月に、プラットフォームサービスを開始した。同サービスでは、RunwayGOがAPIを通じて海外サプライヤーのERPシステムに接続し、最新の在庫情報をリアルタイムで中国国内の小売業者に送信する。各小売業者がそれらの商品情報や在庫情報を基に注文し、代金決済後にRunwayGOが商品を出荷するという仕組みだ。

RunwayGOアプリ画面

小規模店舗顧客には、独自のユーザーインターフェースが構築できるようにサポートし、リベート決済ツールを提供している。商品が注文されると、商品情報と写真がワンクリックでダウンロードされてすぐに販売店側に届くため、注文から販売までのタイムラグが生じない。RunwayGO創業者のWinnie氏は、RunwayGOを使えば、30日かかっていた仕事が7日で完了するようになり、対応するのに100人必要だった5万SKUもの商品も、3~4人で扱えるようになると語る。

また、RunwayGOはサービス提供の過程で収集された膨大なビジネスデータを活用し、顧客向けにサプライチェーンファイナンスサービスも行っている。

現在、RunwayGOの主な収益は、商品の仕入れ値と販売額の差額分によるものだが、小規模店舗顧客向けの、販売代理サービスやサプライチェーンファイナンスサービスも収益源となっている。サービス開始以来、3カ月で200近い顧客、60超のブランドと取引を行い、月平均GMVは1500万元(約2億3000万円)を超える。

RunwayGOのチームメンバーは中国国内の大手越境EC経験者を中心に構成されている。創業者の一人であるWinnie氏は500を超える海外サプライヤーと交渉した経験がある。同じく創業者のMing氏は米フォーチュン誌による世界企業番付500社に入る企業に勤務経験があり、ファッション分野での企業招致や商品調達、市場開拓、サプライチェーンマネジメント等に精通している。

今後、世界的サプライチェーン戦略を進めていくRunwayGOは、取り扱い商品を化粧品、家庭用品、パーソナルケア、ベビー用品等に拡大するとともに、バーチャルコーポレーションとして社外の物流拠点、生産拠点における在庫情報を統合し、分散型の流通ネットワークの構築によって、商品が消費者の手に届くまでのコストを極力抑えることを目指している。

(翻訳・桃紅柳緑)

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