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アリババ系の次世代スーパー「盒馬鮮生(Hema Fresh)」がショッピングモール事業に触手を伸ばしつつある。
2019年11月30日、盒馬は同社のショッピングモール第1号店となる「盒馬里・歳宝」(以下、盒馬里)を深圳市羅湖区蓮塘路にオープンさせた。盒馬里は、深圳を拠点とする大手百貨店「歳宝百貨(Shirble Department Store)」と盒馬が共同で開発したショッピングモールである。歳宝百貨の店舗跡地を利用し、売り場管理と従業員給与については引き続き歳宝が担当し、盒馬は技術、店舗の設計、プロモーション、店舗全体の運営を担当する。テナントについては、歳宝百貨に入っていたいくつかのブランドは残るものの、ほとんどは盒馬が誘致する。
立地選択からみると盒馬里は典型的な地域密着型ショッピングモールである。蓮塘路周辺は一般的な住宅地で、不動産の平均価格は1平方メートルあたり約5万元(約75万円)である。盒馬里のターゲットは都市部の中流家庭の日常需要であることが見て取れる。
面積あたりの効率からみても、家賃が安く来店客数が安定している住宅地への出店は良い選択である。実際、コストパフォーマンスを重視した地域密着型ショッピングモールが、最近の百貨店業界のトレンドとなっている。
昔ながらの地域密着型ショッピングモールもデジタル化の流れには抗えず、歳宝も3年前にO2Oビジネスを開始した。しかし今回デジタル化で先行している盒馬と出会ったことで、オンライン部分は盒馬に任せ、自身は実店舗の管理にリソースを集中することにしたのだ。
しかし現在、ショッピングモールを運営するのは決して楽ではない。ショッピングモール業界の経営状況は惨憺たるもので、業界の3分の1は倒産の危機に瀕している。今敢えて盒馬がショッピングモールに参入する理由はなにか。
新しいタイプのショッピングモール
盒馬は歳宝のモールを全面的に改装し、店舗の構成比率と配置、品揃え、運営モデルを刷新した。
盒馬里の営業面積は約2万平方メートルで、売り場は、小売り、飲食、生活サービス、児童向け用品に分かれている。モールは3階まであり、1階と2階は店舗が占め、3階にはキッズスペースが設けられている。
1階中央は小売りが中心で、高級ブランドではなくユニクロ、ファーウェイなどの大衆向けブランドが入っている。1階にはこのほか、全体が1つの街のようにデザインされたレストラン街がある。2階は盒馬鮮生が3分の2を占め、残りの部分は生活サービスと児童向けエリアとなっている。
市場のようなデザインは、盒馬が地域密着型ショッピングモールとして提案する新しいモデルである。盒馬里の運営責任者である金焔氏によると、一般的にショッピングモールとテナント間の賃貸契約期間は1年以上であるが、盒馬里は来店客に常に新鮮なイメージを持ってもらうため、賃貸契約期間を短く設定し、頻繁に店舗の入れ替えを行うとのこと。
地域密着型ショッピングモールにおいて、家族向けスペースは欠かせない要素である。盒馬の調査によると、蓮塘路から3キロ圏内は子供がいる世帯が40%を占め、子供が2人いる家庭の割合も高い。盒馬は子供の早期教育を目的とした「虫虫絵本館」を誘致し、家族客向けのレジャー施設を提供するとともに教育トレーニングの場も提供している。
また他の地域密着型ショッピングモールと異なり、盒馬里に入っている60余りの店舗はみなオンライン注文と配送サービスも利用できるようになっている。現在、盒馬里には10万点近くのSKU(ストック・キーピング・ユニット)があり、これらのデータは全てデジタル化されており、商品、在庫管理から、販売、アフターサービスにいたるまですべて、盒馬のシステムによって管理されている。
目指すはスーパープラットフォーム
盒馬里は盒馬が開発した7番目の新業態である。過去3年間で盒馬は、都市部で展開する「盒馬鮮生(Hema Fresh)」をはじめとして、住宅街や都市郊外において生鮮食品の量り売りを行う「盒馬菜市」、地方都市で展開する小型店舗「盒馬mini」と「盒小馬」、店舗がない地域で配送用倉庫のみを運営する「盒馬小站」、アプリで朝食を注文しピックアップできる「Pick’n Go」など様々な業態を展開し、あらゆるライフスタイルにおけるニーズをカバーしてきた。盒馬が目指すのはスーパープラットフォームである。
盒馬にとって実店舗は低コストでユーザーを確保するためのコアとなるリソースだ。まもなくやってくる5G時代は、スーパープラットフォームを目指す企業にとって新たなチャンスになる。盒馬の侯毅CEOは「5G時代、オフラインにおけるユーザー体験をオンラインアプリへ集約できた企業が将来のキングになる。盒馬は実店舗で獲得する多くのユーザーをアプリのトラフィックへと繋げていき、オンライン と オフラインで異なるサービスを提供したい」と語る。
盒馬のショッピングモール進出は単なるオフラインチャネルへの拡張ではなく、スーパープラットフォームを目指すための大きな布石なのだ。
(翻訳・普洱)
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