上海のDQに「ヒューマノイド店員」登場 55工程をこなし、最後はカップを逆さに
シンガポールに本社を置くAIロボット企業「Sharpa」と、米アイスクリームチェーン「Dairy Queen(DQ)」の中国事業を運営するCFBグループが共同で手がけるロボットレストランが8月29日、上海市の呉江路で営業を開始した。
店舗に導入されたのは、Sharpaの車輪移動型ヒューマノイド(人型ロボット)「North」だ。注文を受けると、ロボットは2本のアームと5本指のロボットハンドを使い、ソフトクリームにクッキーなどの具材を混ぜ込んだDQの主力商品「ブリザード」をつくる。カップの取り出しからソフトクリームの充填、トッピング、攪拌、商品の受け渡しまで、55の連続工程を自律的にこなし、最後にはDQの代名詞となっている「カップを逆さにしてもこぼれない」パフォーマンスも披露。

ロボットの導入に当たり、既存の製造設備や原材料、作業工程には基本的に変更せず、人間向けにつくられた設備や道具をロボットがそのまま使用する「ゼロ改造」で、実際の環境で触覚制御や長い手順を要するタスクの実行能力を重点的に検証する。
ただし、プロジェクトはまだ初期の実証段階にある。現時点でロボットが作れるのはオレオ味に限られ、1杯当たりの所要時間は約6分。熟練した従業員なら2~3分で完成させられるという。店舗では有人カウンターも引き続き稼働し、ロボットは主に予約注文に対応している。両社は今後、ピーク時以外の時間帯や夜間の店舗運営をロボットに任せる可能性を探るが、現段階ではまだ投資対効果がプラスに転じていない。

Sharpaは、中国LiDAR大手の禾賽科技(Hesai)の創業チームが2024年に設立した。シンガポールにグローバル本社、上海に製造・研究開発拠点を構える。ヒューマノイドに加え、触覚対応の5本指ロボットハンド「Sharpa Wave」を中核製品として展開している。
Sharpa Waveは25年10月に量産を開始した。22の能動自由度を備え、各指先に1000点を超える触覚センサーを内蔵。圧力の感知精度は0.005ニュートンに達するという。また、同製品は米エヌビディア(NVIDIA)の「Isaac GR00Tリファレンス・ヒューマノイドロボット」の設計にも組み込まれ、触覚、精密な制御、細かな操作を必要とするロボットタスクの実現に活用されている。
DQプロジェクトの実施を目前に控え、Sharpaは設立以来の累計調達額が45億元(約1000億円)を超えたことを初めて明らかにした。出資者にはアリババ、テンセント(騰訊)、京東集団(JDドットコム)、伝音控股(Transsion)などの事業会社に加え、紅杉中国(HongShan)、啓明創投(Qiming Venture Partners)、美団傘下の龍珠資本(DragonBall Capital)などの投資会社が名を連ねる。資金調達後の企業価値は約220億元(約5100億円)に達したと報じられている。
*1元=約23円で計算しています。
(36Kr Japan編集部)