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アフリカのフィンテック企業「Flutterwave」が先月下旬、シリーズBで3500万ドル(約38億円)を調達したと海外メディアが報道した。同社はまた、米金融サービス大手「FIS」が昨年3月に430億ドル(約4兆7000億円)で買収した欧州決済大手「Worldpay」と提携、アフリカ向けの決済サービスを提供する。
今シリーズのリードインベスターはGreycroftとe.ventures、コ・インベスターはVISA 、FIS 、CRE Venture Capital、Green Visor Capital。
Flutterwaveは2018年10月にもシリーズAで2000万ドル(約21億円)を調達しており、MasterCardも出資に参加した。
これまでの調達総額は5500万ドル(約60億円)だ。
Flutterwaveは2016年にナイジェリアで設立され、本社は米国サンフランシスコにある。同社は主に事業者向けにアプリケーションプログラミングインターフェイス(API)を提供し、顧客はFlutterwaveの開発者と協同して決済アプリケーションのカスタマイズもできる。初期の顧客は多国籍企業がメインだったが、その後、アフリカの地場企業やスタートアップにまで拡大した。配車サービス大手Uber、ホテル予約サイトBooking.com、アフリカのeコマース大手「Jumia」、アフリカの近距離配送大手「MAX」などがFlutterwaveの顧客だ。
注目に値するのはFlutterwaveの提携相手だ。Worldpay以外にも、昨年は中国のオンライン決済大手のAlipay(支付宝)およびVISAと提携で合意し、うちVISAとは共同で決済アプリ「GetBarter」をリリースした。
同社CEOのOlugbenga Agboola氏は、米テック系メディア「TechCrunch」に対し、調達した資金は技術の研究開発と事業拡張に充て、現在営業している国および地域での市場シェアを拡大させる意向だと述べた。
同氏はまた、Flutterwaveは決済テクノロジー企業としてだけでなく、その専門知識を教育、旅行、ゲーム、eコマース、フィンテックなどの分野にも活用したいと述べた。昨年は米人気歌手カーディ・Bがナイジェリアとガーナで公演した際の決済総合サービスを提供している。
同社のサービスエリアにはナイジェリアとガーナのほか、南アフリカ、ウガンダ、ケニア、タンザニア、ザンビア、ルワンダ、イギリスも含まれる。Agboola氏はこれらの市場で一番に選ばれる決済業者になりたいと語る。がんのための募金を手がける慈善団体、eコマースをはじめたい企業、カーディ・Bのようにアフリカでコンサートを開催したい歌手なども皆サービス対象だ。
同社によると、2019年に処理した取引は総計1億700万件、総額54億ドル(約5800億円)に達した。
フィンテックはアフリカで注目されている業界の一つだ。アフリカの新興ビジネス専門メディア「WeeTracker」の報道では、アフリカのフィンテック業界には昨年、合計13億5000万ドル(約1400億円)が投資された。ほとんどのフィンテック企業の重点はPeer to Peer業務で、市場も1~2カ所に限られる。
同業界にはすでに先頭集団も出現している。ナイジェリア拠点の個人向けモバイル決済プロバイダー「Paga」や、ケニアの個人間送金・決済サービス「M-Pesa(エムペサ)」などだ。
Flutterwaveの最大のライバルは、2002年に設立され、同じナイジェリアのラゴスにある「Interswitch」だ。Interswitchには、プリペイドカード「Verve」や決済アプリ「Quickteller」など、個人や企業向けの金融サービスが数多くある。
InterswitchにはVISAの後押しがある。昨年11月、VISAがInterswitchに出資すると同社の評価額は10億ドル(約1100億円)を超え、アフリカではJumiaに続くユニコーン企業となったと発表された。両社は詳細を明らかにしていないが、一部メディアは当時、VISAがInterswitchの株式20%を2億ドル(約220億円)で取得したと報じている。これ以前にも、InterswitchがロンドンでIPOを計画しているとの報道が少なからず流れている。
(翻訳・永野倫子)
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