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香港国際空港で昨年11月、自動運転技術開発を手掛ける「馭勢科技(UISEE)」のソリューションを搭載した自動運転トーイングトラクター数台の運用が無事に始まった。同社創業者兼CEOの呉甘沙氏は「保安要員が乗車しない形が常態化し始めた」と語り、安堵した様子をうかがわせた。
2016年設立のスタートアップである駆勢科技は乗用車メーカーと提携し、自動バレーパーキングシステムとレベル2(L2)、レベル3(L3)自動運転システムを量産している。さらに、売り上げだけでなく大量のデータの蓄積も見込めるとして、マイクロバスや物流分野の無人車両など商用車分野での商機も探っている。
2019年の自動運転システム市場では、乗用車向けよりも用途が細分化された車両向けの伸びが大きかった。呉氏も駆勢科技の売上高について、18年は乗用車部門が物流部門を上回っていたが、19年以降は後者の比率が高まり続けていると明かす。
「2020年は乗用車部門で2件の量産プロジェクトを計画しているが、それらが短期間で収入の柱になることはあり得ない。われわれが期待するのは自動車メーカーと良好な協力関係を確立することだ」。呉氏はこのように語り、同社にとっては物流の無人化に関する事業が向こう2年の主な収入源となり、20年に真の成長を迎えるとの見通しを示した。
36kr傘下の自動車専門ニューメディア「未来汽車日報」はこのほど、呉氏にインタビューを行った。以下はその抄訳。
目標達成まで残り10%に9割の時間と力を注ぐ
――18年に設定した目標の達成具合は。
「当社は現時点ですでに多くの顧客を抱えているが、今年、来年はもっと増えるだろう。いったん量産に入れば、製品を納入できる顧客も増えるためだ。現在の顧客には空港のほか、港湾の保税地域、物流パークなどがある。ここ数年、当社は業界トップクラスの顧客を見つけ、ソリューションを生み出すことを戦略としてきた。17年と18年には急速な成長を果たし、19年は業界トップクラスの顧客向けソリューションを、PoC(実証実験)から量産に進めた」
――20年には量産化をほぼ実現するのでしょうか。
「当社の顧客は自動車メーカーだけで十数社に上っており、20年には数件の量産プロジェクトを実施したいと考えている。現時点で少なくとも2件の実施が比較的確実だ。20年は物流や自動運転マイクロバスが大きく伸びる見通しだが、乗用車については伸びがやや鈍化するだろう。顧客の数が急速に増える可能性も低いため、顧客ごとの量産化を順次実現していくことが重要になる」
――量産のペースは想定通りですか。
「すでに道のりの90%まで来ているが、残り10%に9割の時間と力を注ぐ必要がある」
自動車メーカーとの関係は
――御社は当初から自動車メーカーとの提携を進めてきました。市場開拓を行うのは困難でしたか。
「最初から自動車メーカーに認めてもらうのは実に難しいことだ。彼らが部品を採用するということは、車両が市場で10年間流通することを想定した場合、10年間は部品の交換ができなければならない。部品のサプライヤーは、少なくとも10年間の存続が求められるということだ。スタートアップにとって、自社が10年間存続可能であることを証明するのは非常に難しい。長期に及ぶ安定した協力関係により、当社は18年に中国自動車大手『上汽汽車集団(SAICE MOTOR)』傘下の『上汽通用汽車(SAIC GM)』『上汽大衆汽車(SAIC VOLKSWAGEN)』から優秀サプライヤー賞を受賞した。もちろん信用を獲得する過程を必要としたが、信頼性の高い技術によって信用を勝ち取ることができた」
――自動車メーカーも現在は自社で自動運転を手掛けています。
「中国大手自動車メーカーの董事長と話したが、二つの点で意見が一致した。一つ目は、コアコンピタンスを確立すべきで、何にでも手を出そうとすべきではないということ。二つ目は、融合が大変重要だということだ。今後、自動車メーカーとサプライヤーの関係がより緊密になるのは間違いない。サプライヤーの役割が変化していくだけだ」
――スタートアップが20年に量産を実現できず、資金も調達できない場合、競争から脱落したということになりますか。
「その通りだ。20年は自動運転技術業界にとって真の商業化元年になると考えている。あとは投資家がどの程度支援してくれるのかを見る必要があるだろう。そのスタートアップについて、まだやれる、ただ伸び悩んでいるだけだという確信が持てれば、投資家は支援を継続し、さらに1年の時間をくれる可能性がある。だが、一つの事例に2~3年かけてもめどが立たなければ、確実に厳しい状況に陥るだろう」
「仮に支援を得られても、発展のスピードは制約を受け、資金をどんどん使うことはできなくなる。また、その技術が短期間で大規模な商業化を実現することが不可能だと判断され、開発半ばで妥協することを求められれば、別の実用化の道を見つける必要がある」
(翻訳・池田晃子)
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