「中国版テスラ」のNIOが政府から1500億円を調達 新モデル「EC6」を合肥工場で量産開始

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「中国版テスラ」のNIOが政府から1500億円を調達  新モデル「EC6」を合肥工場で量産開始

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昨年以降、キャッシュフローに関する数々の苦境に立たされてきた中国EVメーカー「NIO(蔚来汽車)」だったが、直近の見通しは非常に明るい。

同社は2月下旬、合肥市と協力枠組協定を締結した。これによりNIOの中国本部が合肥市に建設されるほか、合肥市政府は指定の投資会社と複数の投資家を通じ、同プロジェクトに100億元(約1500億円)を投資する計画だ。合肥人民政府は公式ウェイボー(微博)で、今後5年以内にNIOを時価総額1000億元(約1兆5000億円)のリーディングカンパニーに育て上げ、同社は合肥さらには安徽省の新エネルギー自動車産業の発展をけん引する存在になるだろうと発表した。

この情報が発表されると、NIOの取引前株価は21%以上の大幅な値上がりをみせ、提携先の江淮汽車(JAC)も2時間以内にストップ高となった。

協力枠組協定を締結するNIOと合肥市政府 写真提供:NIO

NIOの創業者で董事長兼CEOの李斌氏は36Kr系列の自動車関連メディア「未来汽車日報」の単独取材に対し、同社と合肥市政府の双方は今年1月から急ピッチで会談を進めてきたことを明らかにした。さらに、今後2カ月以内に最終的な投資協定を締結するとも話した。

NIOの関係者によると、同社の中国本部プロジェクトには、合肥での中国本部の設置、R&D、販売、生産拠点の建設が含まれており、同社は合肥を中心とする中国本部運営体系を構築していくという。これは、上海自動車イノベーション港(上海国際汽車城創新港)にあるNIO世界本部の一部機能が合肥の中国本部に移転することも意味している。

現在、上海のNIO世界本部は主に完成車のR&D、製造・運営、マーケティングおよびサービスなどの機能を担っている。

NIOの李斌CEO 写真提供:NIO

双方にとって合理的な選択

NIOと合肥市の「蜜月関係」は、3年あまりにわたる長期的な提携の結果だ。

NIOは2016年に江淮汽車(JAC)と戦略提携協議を締結し、20億元(約300億円)を拠出し14カ月をかけて江淮汽車の工場内に年間生産能力5万台の新たな共同工場を建設した。昨年の新興自動車勢力の販売台数ランキングでトップとなったES8とES6は、まさにこの工場で「誕生」している。

2月25日には、共同工場で生産された3番目のモデル「EC6」の量産が正式に始動した。かつてフォルクスワーゲングループのCEOハーバート・ディエス氏より大いに賞賛されたこの工場は、現在では年間生産能力が10万台まで拡大している。

李CEOは昨年3月、同工場の年間生産能力は15万台に達する見通しで、今後2~3年以内における2~3モデルの生産ニーズをほぼ満たすことができるため、短期的には自社工場の建設が必要ないとの考えを示している。

EC6量産開始セレモニー 写真提供:NIO

「合肥市がNIOを選んだのは、研究開発からユーザーサービスに至るまで全てが体系化された当社の競争力や、着実な成長をこの数年に目の当たりにしてきたためだ」と李CEOは語る。同社の中国本部が合肥市に「腰を落ち着けた」後は、安徽省および合肥市の現地サプライチェーン企業との提携をさらに深めていくとのこと。李氏はまた、「NIOのさらなる発展に対するサポートは、安徽省や合肥市の総合産業戦略ともマッチしている」と語った。

各段階に見合った資金調達方法がある

「資金調達」は、新興自動車メーカーが必ず直面する創業当初からの大きな難題となってきた。

「当社のような企業は、継続的な資金調達により新製品の開発、核心技術およびユーザーサービスを支えることがどうしても必要であり、これは常識だ」。李CEOはこう率直に述べ、資金調達が一種の「ノルマ」であるとした。

NIOは今年に入ってすでに累計2億ドル(約210億円)の転換社債による資金調達の完了を発表している。インベスターはアジアの投資ファンド2機関で、いずれも非関連当事者であり純粋な財務投資家。NIO関係者はさらに、2019年第3四半期の決算で言及したテンセントおよび李CEOの2億ドルの転換社債による資金調達が全て完了したことを認めているほか、「他の資金調達も進行中であり、前向きな進展が得られている」という。

李CEOはテンセントや京東へ投資した中国大型PE「高瓴資本(Hillhouse Capital Group)」および「テマセク・ホールディングス(Temasek Holdings)」などシリーズAおよびシリーズBでの投資家による持株売却に関しては「正常な市場行為であり、過度な解釈は必要ない」としている。このほか新たな長期投資家も現れており、米独立投資管理会社「ベイリーギフォード(Baillie Gifford)」はそのうち最大の外部投資家となっている。

NIOのキャッシュフローは、頻繁な資金調達および厳格なコスト削減・効率向上措置によって上向いてきた。しかし、これは創業からわずか5年の同社が資金繰りの問題から完全に脱却したことを意味しない。

同社の第3四半期の決算によれば、昨年9月末の時点でNIOが保有する現金および現金同等物、制限付預金および短期投資の総額は19億607万元(約284億円)となっている。李CEOによればキャッシュフローの逼迫は正常なことであり、「当社はまだ毎年利益を出せる段階ではない。巨額の資金を放置しておくことの方が異常だ」と述べている。損益分岐点への到達時期については、「テスラさえあれだけ長くかかったのだから、すぐにというわけにはいかないだろう」と語った。

「各段階ごとに異なる投資家、さらには異なる資金調達の方法が存在する。我々は投資家による十分な支持を得られると信じている」

(翻訳・神部明果)

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