フォックスコンの米ウィスコンシン州工場、目標雇用者数を達成も補助金受給は難航か

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4月10日、アップルの主要サプライヤーとして知られるフォックスコン(Foxconn)の米ウィスコンシン州にある工場が目標の雇用者数を達成したと発表し、同州に対し数千万ドル(約数十億円)の補助金を合意通りに支払うよう求めた。

フォックスコン副会長のJay Lee氏が公表した文書によると、2019年末までに、同社はウィスコンシン州で600人以上の従業員を直接雇用しており、うち550名の契約が同社とウィスコンシン州の経済振興に関する合意に沿った形式となっている。この合意によれば、同種の契約による雇用者が2019年末までに520名になれば、補助金を受給できることになっている。

フォックスコンはまた、ウィスコンシン州工場にすでに2.8億ドル(約300億円)の投資をしたとしており、この数字に間違いがなければ、5000万ドル(約54億円)の補助金の交付や減税措置が適用される。

2018年、ウィスコンシン州は雇用創出のため、フォックスコンと最大40億ドル(約4300億円)の補助金について合意した。内訳は法人税の減免が28.5億ドル(約3100億円)、売上税の減免が1.5億ドル(約160億円)、政府からの奨励金が7.6億ドル(約820億円)、工場周辺の道路工事支援金が1.34億ドル(約140億円)となっている。

全額給付の条件は、フォックスコンが4年以内にウィスコンシン州で100億ドル(約1.1兆円)の投資を行い、さらに1.3万の雇用を創出することである。

1.3 万人の雇用というのはフォックスコンにとって大した数字ではない。同社は中国鄭州市にある工場だけで25万人が働いているのである。しかし、人口が比較的少なく、賃金水準が高いウィスコンシン州において、この数字を達成するのは非常に難しい。

工場の着工式は、トランプ大統領と郭台銘(テリー・ゴウ)氏が出席するほどの盛大さだったが、その後の求人は難航した。2018年末までに156人しか新たに雇うことができなかったため、フォックスコンは同年補助金を受給できなかった。

その後は計画が変更され、工場および予定している事業の規模がともに縮小された。最先端の10.5世代ディスプレイ工場計画が第6世代に変わり、超大型液晶パネルを生産する計画が、小型商品の生産になってしまった。

合意が履行されない状態が続き、工場建設をめぐって民主党と共和党が論戦を広げるようになった。フォックスコン誘致を後押ししていた共和党は2019年の選挙で敗れ、州知事が共和党員から民主党員に変わってしまい、計画にさらに疑問符がつけられるようになった。フォックスコンとの合意に関する法案が同州議会で採決されたとき、民主党からの賛成票は0だったのである。

現職のエバーズ知事はフォックスコンの誘致にはかねてから反対しており、今後補助金を交付するかどうかは不透明だ。昨年、エバーズ氏は工場の規模が大幅に縮小されため、当時の合意内容に適合するものでなくなり、補助金受給の要件を満たさないと話したことがある。

ウィスコンシン州は現時点で、補助金を交付するかどうかについて数カ月かけて精査するとしている。

だが、想定外の事態が発生した。新型コロナの感染拡大により、この工場に新たな役割が期待されるようになったのだ。4月8日、フォックスコンは米国の医療機器大手「メドトロニック(Medtronic)」と協力し、ウィスコンシン州で人工呼吸器の製造を開始すると発表した。メドトロニックはすでに平時の3倍のスピードで人工呼吸器を製造しているが、それでも全く供給が追いつかない状態だ。今回の共同生産の台数は未公表だが、両社にとって重要な意味を持つ一歩になることは間違いない。

(翻訳:小六)

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