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ビジネスメディアの「晚点(LatePost)」の報道によると、ライドシェア大手の「滴滴(DiDi)」傘下の自転車シェアリングサービス「青桔単車(DIDI BIKE)」が10億ドル(約1100億円)以上の資金調達を行ったという。「君聯資本(Legend Capital )」がリードし、海外の大手ファンドが参加したとされるが、滴滴はコメントを発表していない。
滴滴は2017年に自転車シェアリングに進出し、中国の三級、四級都市を中心に自転車シェアリングの青桔単車と、電動自転車シェアリングの「街兎電単車(Roadbit)」を展開してきた。2019年にこの2つのサービスは統合され、滴滴の二輪車事業部として再出発している。
今回の資金調達は青桔単車の初の資金調達であり、自転車シェアリング業界ではこれまでで最大規模の資金調達となった。「摩拝単車(モバイク)」は2018年2月のシリーズFの10億ドル(約1100億円)、「ofo」は2018年シリーズE2-1の8.66億ドル(約940億円)が最多だった。
摩拝単車はその後生活関連サービスプラットフォームの「美団点評(Meituan-Dianping)」に買収され、ofoは資金がショートしECのショッピングアドバイザーに転身。その他の中小自転車シェアリング企業も大手に買収され、この2年間は大きな資金調達がなかった。
では、青桔単車の資金調達の目的は何だろうか。滴滴が社内向けメールで公表した今後3年間の戦略では、3年以内に全世界で1日あたりの利用件数1億件、国内の市場浸透率8%、全世界での月間アクティブユーザー数8億以上を目標に掲げていた。
4月16日の戦略発表会において、同社はさらに自動車アフターマーケット、自動運転、オートファイナンス、スマートモビリティなどの新規事業とともに、四輪、二輪、地下鉄、バスなどの移動手段をワンストップ型で利用可能なプラットフォームを構築することを打ち出した。
この戦略遂行のためには、自転車シェアリングが提供できるトラフィックが非常に重要であり、青桔単車の資金調達は3カ年目標に向けた重要な準備だといえる。
また、この動きの背景として、自転車シェアリング業界全体が回復しつつあることが挙げられる。今年3月、「哈囉出行(helloglobal)」は金額未公表ながら資金調達を行ったと発表した。同社とアリババグループ傘下フィンテック企業の「アント・フィナンシャル」、動力電池大手「寧徳時代(CATL)」が共同で運営している電気自転車専用のバッテリー・パック交換サービスも、パワーエレクトロニクス大手の「中恒電気(Zhonhen Electric)」から2億元(約30億円)の出資を受けた。
このように、自転車シェアリングの競争が再び始まろうとしている。晚点の報道によると、今回青桔に出資した海外ファンドはもともと哈囉に興味を持っていたが、最終段階になって青桔を選んだということだ。美団の共同創業者である王慧文氏も2019年年末のインタビューにおいて、美団は2020年にすべての都市で自転車シェアリングの規模を拡大する予定だと話していた。
だからといって自動車シェアリング業界は、数年前のような無秩序な競争にはならないだろう。今回の競争は効率性と収益性の戦いになるはずだ。その上投資家の手元資金もこれまでのように潤沢なわけではなく、すぐに黒字化を実現できなければ、投資家が資金を引き上げることもありうる。
自転車シェアリングの競争の行方はどうなるのか、すべてはまだ未知数である。
(翻訳:小六)
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